メタゲームを制する①
2015年8月3日 Magic: The Gatheringコントロールデッキというのは、よほどのコントロール向きなパワーカードがない限りは
「相手のデッキを想定して対策を考えた」
というカードの山です。以下、どのような対策を取ればいいかを書き出し、どういうカードを採用するのがコントロールデッキとして良い選択なのか、考えてみます。
また、コントロールデッキを扱う人以外でも、自分のデッキだとどこまで対応できるか、サイドボードを考えるときに役に立つかもしれません。勝つためには自分のデッキも大事ですが、とにかく相手を知ること。「彼を知りて己を知らば、百戦して殆ふからず」ってやつですね。今回は、青黒系コントロールを除いたTier1デッキおよび流行の青赤ソプターを見ていきます。
・ アブザンコントロール
・ 赤緑信心
・ 赤単アグロ
・ 青赤ソプター
●アブザンコントロール
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 8勝1敗1分
プレイヤー:山本賢太郎 (他、高橋優太)
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015450/#
<注目すべき点>
タルキール覇王譚の登場からずっとトップメタに君臨し続ける強力なデッキ。その強さはデッキに採用されているカードパワーの高さはもちろん、多様なカードと差し替えることで環境に対応できる柔軟性です。サイドボードに《悪性の疫病》さえ取っていれば、青赤ソプターにも優勢であり、今後も見続けるアーキタイプといえるでしょう。とにかくスタンダードのデッキを考える上ですべての基準というべきデッキなので、これに不利なデッキはあまり選択したくはないところ。
<対戦時の注意点>
対戦相手の技量によってそのデッキの運用、強さに差が出るデッキ。相手にするときに心がけたいのが、できるだけカードアドバンテージを取らせないこと。一番マズイのは5マナで出てくる《棲み家の防衛者》と、戻ってくる《死霧の猛禽》。他に、《クルフィックスの狩猟者》の継続的なアドバンテージ。最終的に出てくるゲームエンドカード《太陽の勇者、エルズペス》。対戦を重ねて経験を積みたい。
●赤緑信心
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 7勝2敗1分
プレイヤー:Paul Jackson (他Brad Nelsonら7名が7勝3敗)
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015451/#
<基本的な動き>
序盤からマナクリーチャーを積極的に展開し、生み出す膨大なマナをもとに、強力なクリーチャーを召喚する。引いたカードを叩きつける系のデッキ。
<対戦時の注意点>
想定されるマナの計算をして、相手の次の動きをしっかりと読む。
プロツアーでも最大勢力となった赤緑信心は、必ずしも勝ち組とは言えない成績でしたが、3ターン目に4~6マナを捻出してくる動きは強力です。コントロール側とすると、捌きを考えたときに応じ手をうっかり1手間違えると「死ぬ」、これが赤緑のカードパワーのプレッシャー。プレイング上のミスを極力減らす上でも、デッキの把握が大事な相手です。
●赤単アグロ
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 9勝1敗
プレイヤー:Stephen Neal (他、Rich Hoaen)
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015450/#
<基本的な動き>
1~2マナのクリーチャーを中心に、豊富な火力で相手のライフを削りきるデッキ。いくつかバリエーションがあるが、トークン戦術よりもバーン戦術を選んでいるのが特徴。以前の赤単も大概な強さだったが、新しいリストの赤単は《ケラル砦の修道院長》により息切れしにくい。瞬発力は落ちたが消耗戦に強くなっている。上のリストはメインにチャンドラ、サイドに雷破や山を積んでおり、徹底した調整の跡が伺えます。
<対戦時の注意点>
メイン戦はしっかり回った赤単に対処できるデッキは少ないはず。サイド戦後にしっかりと2本とって勝ちたいが、そのサイドボードプランが本当に有効かどうかは、十分に確認しておくべき(「コーの悲劇」の教訓)。個人的には、サイド後8割ぐらい勝てないと赤単には勝てないと思っている。《護法の宝珠》が強いが、メタゲーム次第では《粉々》が採用されそうなので、安心できる対策カードではない。
●青赤ソプター
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 8勝1敗1分
プレイヤー:Eric Froehlich (他、Josh McClain)
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015450/#
<基本的な動き>
ソプターとは、飛行機械のこと。《羽ばたき飛行機械》や《ダークスティールの城塞》に、《アーティファクトの魂込め》をつけて殴る、いわゆるハサミデッキはマイナーデッキとして存在していたものの、オリジンの新カード《搭載歩行機械》、《鋳造所の隊長》、《つむじ風のならず者》がデッキとしての完成度を大きく高めて、プロツアーにてトップメタへと躍り出る活躍をした。ハサミで殴る以外に、飛行機械トークンがライフを削り、《爆片破》が止めを刺すのがデッキの流れ。M15のカードに大きく依存しているので期間限定ではあるが、しばらくこの活躍は続くのではないだろうか。
<注目すべき点>
サイドボードの潔いカード選択を見てほしい。《焙り焼き》はアブザン対策、《軽蔑的な一撃》は赤緑信心対策、《大地の断裂》は赤アグロ対策、《飛行機械の諜報網》はコントロール対策、というのが一目瞭然である。自分が大人に混じってMTGに打ち込んでいた時期のスタンダードのサイドボードも、これぐらい潔いものだった(カードプールにだいぶ差はあるが)。初見殺しともいうべき青赤のデッキとしての勢いと、徹底した対策カードの山が、勝ち組としての地位を得たのは言うまでもない。
<対戦時の注意点>
① 最速は2ターン目の5/5破壊不能ハサミで、3回殴って5点火力で終わり。
② 《つむじ風のならず者》がハサミにアンブロッカブルを付与してくる。
③ 《爆片破》が2枚あれば、ライフ10を一気に削ることができる。
最も効果的な対策カードは《悪性の疫病》で、次点で《神々の憤怒》。こちらは横並びになるトークンに対応したカードであり、《頑固な否認》をかわして唱えたい。そして何より、破壊不能の5/5ハサミをどうにかしなければいけないが、《アブザンの魔除け》は最もナチュラルにハサミに対処できるカードと言える。ソーサリーではあるが、《存在の破棄》も対策としては間違ってはいない。
いかがだったでしょうか。
以上のデッキを念頭に、次回はコントロールデッキを組み上げていこうと思います。
「相手のデッキを想定して対策を考えた」
というカードの山です。以下、どのような対策を取ればいいかを書き出し、どういうカードを採用するのがコントロールデッキとして良い選択なのか、考えてみます。
また、コントロールデッキを扱う人以外でも、自分のデッキだとどこまで対応できるか、サイドボードを考えるときに役に立つかもしれません。勝つためには自分のデッキも大事ですが、とにかく相手を知ること。「彼を知りて己を知らば、百戦して殆ふからず」ってやつですね。今回は、青黒系コントロールを除いたTier1デッキおよび流行の青赤ソプターを見ていきます。
・ アブザンコントロール
・ 赤緑信心
・ 赤単アグロ
・ 青赤ソプター
●アブザンコントロール
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 8勝1敗1分
プレイヤー:山本賢太郎 (他、高橋優太)
4 : 《棲み家の防御者》
4 : 《サテュロスの道探し》
4 : 《クルフィックスの狩猟者》
4 : 《死霧の猛禽》
4 : 《包囲サイ》
20 creatures
2 : 《衰滅》
4 : 《思考囲い》
2 : 《究極の価格》
2 : 《英雄の破滅》
4 : 《アブザンの魔除け》
2 : 《太陽の勇者、エルズペス》
16 other spells
2 : 《森》
2 : 《平地》
4 : 《吹きさらしの荒野》
4 : 《ラノワールの荒原》
4 : 《砂草原の城塞》
4 : 《疾病の神殿》
3 : 《静寂の神殿》
1 : 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
24 lands
1 : 《強迫》
2 : 《ドロモカの命令》
2 : 《ニクス毛の雄羊》
2 : 《究極の価格》
3 : 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
2 : 《責め苦の伝令》
1 : 《衰滅》
2 : 《風番いのロック》
15sideboard cards
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015450/#
<注目すべき点>
タルキール覇王譚の登場からずっとトップメタに君臨し続ける強力なデッキ。その強さはデッキに採用されているカードパワーの高さはもちろん、多様なカードと差し替えることで環境に対応できる柔軟性です。サイドボードに《悪性の疫病》さえ取っていれば、青赤ソプターにも優勢であり、今後も見続けるアーキタイプといえるでしょう。とにかくスタンダードのデッキを考える上ですべての基準というべきデッキなので、これに不利なデッキはあまり選択したくはないところ。
<対戦時の注意点>
対戦相手の技量によってそのデッキの運用、強さに差が出るデッキ。相手にするときに心がけたいのが、できるだけカードアドバンテージを取らせないこと。一番マズイのは5マナで出てくる《棲み家の防衛者》と、戻ってくる《死霧の猛禽》。他に、《クルフィックスの狩猟者》の継続的なアドバンテージ。最終的に出てくるゲームエンドカード《太陽の勇者、エルズペス》。対戦を重ねて経験を積みたい。
●赤緑信心
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 7勝2敗1分
プレイヤー:Paul Jackson (他Brad Nelsonら7名が7勝3敗)
4 : 《エルフの神秘家》
4 : 《爪鳴らしの神秘家》
4 : 《森の女人像》
4 : 《クルフィックスの狩猟者》
2 : 《巨森の予見者、ニッサ》
3 : 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
4 : 《囁きの森の精霊》
4 : 《龍王アタルカ》
3 : 《起源のハイドラ》
32 creatures
4 : 《歓楽者ゼナゴス》
4 other spells
10 : 《森》
1 : 《山》
4 : 《樹木茂る山麓》
4 : 《ニクスの祭殿、ニクソス》
4 : 《奔放の神殿》
1 : 《岩だらけの高地》
24 lands
3 : 《霧裂きのハイドラ》
3 : 《大地の断裂》
3 : 《ナイレアの信奉者》
2 : 《高木の巨人》
2 : 《ガイアの復讐者》
2 : 《精霊龍、ウギン》
15 sideboard cards
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015451/#
<基本的な動き>
序盤からマナクリーチャーを積極的に展開し、生み出す膨大なマナをもとに、強力なクリーチャーを召喚する。引いたカードを叩きつける系のデッキ。
<対戦時の注意点>
想定されるマナの計算をして、相手の次の動きをしっかりと読む。
① 変異で出た《爪鳴らしの神秘家》を残すと次ターンに2マナを4マナで利用される。
② 《クルフィックスの狩猟者》《死霧の猛禽》は信心2。信心4で捻出マナが1増える。
③ 上記を考えた上で、次のターンの相手の最大の手を考える。
4マナ⇒《世界を喰らう者、ポルクラノス》、《歓楽者ゼナゴス》
5マナ⇒《囁きの森の精霊》
7マナ⇒《龍王アタルカ》、《起源のハイドラ》(X=5)
プロツアーでも最大勢力となった赤緑信心は、必ずしも勝ち組とは言えない成績でしたが、3ターン目に4~6マナを捻出してくる動きは強力です。コントロール側とすると、捌きを考えたときに応じ手をうっかり1手間違えると「死ぬ」、これが赤緑のカードパワーのプレッシャー。プレイング上のミスを極力減らす上でも、デッキの把握が大事な相手です。
●赤単アグロ
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 9勝1敗
プレイヤー:Stephen Neal (他、Rich Hoaen)
4 : 《僧院の速槍》
2 : 《稲妻の狂戦士》
3 : 《鐘突きのズルゴ》
4 : 《大歓楽の幻霊》
4 : 《ケラル砦の修道院長》
2 : 《カラデシュの火、チャンドラ》
1 : 《ゴブリンの踵裂き》
20 creatures
4 : 《乱撃斬》
4 : 《稲妻の一撃》
3 : 《灼熱の血》
4 : 《極上の炎技》
4 : 《かき立てる炎》
19 other spells
21 : 《山》
21 lands
1 : 《マグマのしぶき》
1 : 《溶鉄の渦》
1 : 《灼熱の血》
2 : 《焙り焼き》
2 : 《洗い流す砂》
2 : 《力による操縦》
1 : 《弧状の稲妻》
3 : 《雷破の執政》
1 : 《前哨地の包囲》
1 : 《山》
15sideboard cards
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015450/#
<基本的な動き>
1~2マナのクリーチャーを中心に、豊富な火力で相手のライフを削りきるデッキ。いくつかバリエーションがあるが、トークン戦術よりもバーン戦術を選んでいるのが特徴。以前の赤単も大概な強さだったが、新しいリストの赤単は《ケラル砦の修道院長》により息切れしにくい。瞬発力は落ちたが消耗戦に強くなっている。上のリストはメインにチャンドラ、サイドに雷破や山を積んでおり、徹底した調整の跡が伺えます。
<対戦時の注意点>
メイン戦はしっかり回った赤単に対処できるデッキは少ないはず。サイド戦後にしっかりと2本とって勝ちたいが、そのサイドボードプランが本当に有効かどうかは、十分に確認しておくべき(「コーの悲劇」の教訓)。個人的には、サイド後8割ぐらい勝てないと赤単には勝てないと思っている。《護法の宝珠》が強いが、メタゲーム次第では《粉々》が採用されそうなので、安心できる対策カードではない。
●青赤ソプター
プロツアー『マジック・オリジン』スタンダード 8勝1敗1分
プレイヤー:Eric Froehlich (他、Josh McClain)
4 : 《羽ばたき飛行機械》
4 : 《ファイレクシアの破棄者》
4 : 《鋳造所の隊長》
4 : 《搭載歩行機械》
4 : 《つむじ風のならず者》
20 creatures
4 : 《幽霊火の刃》
4 : 《頑固な否認》
3 : 《バネ葉の太鼓》
4 : 《アーティファクトの魂込め》
4 : 《爆片破》
19 other spells
7 : 《島》
1 : 《山》
4 : 《ダークスティールの城塞》
4 : 《シヴの浅瀬》
4 : 《天啓の神殿》
1 : 《マナの合流点》
21 lands
1 : 《引き裂く流弾》
4 : 《焙り焼き》
3 : 《軽蔑的な一撃》
3 : 《大地の断裂》
4 : 《飛行機械の諜報網》
15sideboard cards
引用元:公式カバレージ http://coverage.mtg-jp.com/ptori15/decklist/015450/#
<基本的な動き>
ソプターとは、飛行機械のこと。《羽ばたき飛行機械》や《ダークスティールの城塞》に、《アーティファクトの魂込め》をつけて殴る、いわゆるハサミデッキはマイナーデッキとして存在していたものの、オリジンの新カード《搭載歩行機械》、《鋳造所の隊長》、《つむじ風のならず者》がデッキとしての完成度を大きく高めて、プロツアーにてトップメタへと躍り出る活躍をした。ハサミで殴る以外に、飛行機械トークンがライフを削り、《爆片破》が止めを刺すのがデッキの流れ。M15のカードに大きく依存しているので期間限定ではあるが、しばらくこの活躍は続くのではないだろうか。
<注目すべき点>
サイドボードの潔いカード選択を見てほしい。《焙り焼き》はアブザン対策、《軽蔑的な一撃》は赤緑信心対策、《大地の断裂》は赤アグロ対策、《飛行機械の諜報網》はコントロール対策、というのが一目瞭然である。自分が大人に混じってMTGに打ち込んでいた時期のスタンダードのサイドボードも、これぐらい潔いものだった(カードプールにだいぶ差はあるが)。初見殺しともいうべき青赤のデッキとしての勢いと、徹底した対策カードの山が、勝ち組としての地位を得たのは言うまでもない。
<対戦時の注意点>
① 最速は2ターン目の5/5破壊不能ハサミで、3回殴って5点火力で終わり。
② 《つむじ風のならず者》がハサミにアンブロッカブルを付与してくる。
③ 《爆片破》が2枚あれば、ライフ10を一気に削ることができる。
最も効果的な対策カードは《悪性の疫病》で、次点で《神々の憤怒》。こちらは横並びになるトークンに対応したカードであり、《頑固な否認》をかわして唱えたい。そして何より、破壊不能の5/5ハサミをどうにかしなければいけないが、《アブザンの魔除け》は最もナチュラルにハサミに対処できるカードと言える。ソーサリーではあるが、《存在の破棄》も対策としては間違ってはいない。
いかがだったでしょうか。
以上のデッキを念頭に、次回はコントロールデッキを組み上げていこうと思います。
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