先週の記事ではありますが、プロツアーオリジンで使用されたスゥルタイコントロールについての詳しい解説記事があがっています。コントロール使いの夢が詰まったスゥルタイコントロール、注目している人も多いのではないでしょうか。

Sultai Control By Andrea Mengucci
http://www.channelfireball.com/articles/deck-tech-sultai-control/

この記事で特に注目すべきは、サイドボードプランでしょう。

これに異論を唱えるのが、素人プレイヤーの私です。いや、別に積極的に異論を唱えたいわけではありませんが(むしろ賛同する部分が多い)、ちょっとずつ考え方が違うところがあるので、それについて書いていこうと思います。

あなたならどう考えるか、一緒に考えていきましょう。

デッキレシピ

スゥルタイコントロール by Andrea Mengucci

<メインボード>
3 : 《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
4 : 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
3 : 《棲み家の防御者/Den Protector》
2 : 《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
12 creatures

2 : 《思考囲い/Thoughtseize》
1 : 《胆汁病/Bile Blight》
2 : 《究極の価格/Ultimate Price》
2 : 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2 : 《解消/Dissolve》
3 : 《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
3 : 《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》
2 : 《衰滅/Languish》
4 : 《時を越えた探索/Dig Through Time》
1 : 《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》
1 : 《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
23 other spells

2 : 《島/Island》
3 : 《沼/Swamp》
4 : 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 : 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
3 : 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
4 : 《華やかな宮殿/Opulent Palace》
1 : 《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》
4 : 《疾病の神殿/Temple of Malady》
2 : 《神秘の神殿/Temple of Mystery》
1 : 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
25 lands

<サイドボード>
4 : 《部族養い/Feed the Clan》
2 : 《否認/Negate》
1 : 《強迫/Duress》
1 : 《思考囲い/Thoughtseize》
2 : 《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1 : 《衰滅/Languish》
3 : 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
1 : 《漂う死、シルムガル/Silumgar, the Drifting Death》
15 sideboard cards



サイドボードプランとそれに対する感想

●対赤単

IN 《悲哀まみれ》2枚、《衰滅》1枚、《部族養い》4枚、《強迫》1枚、《否認》2枚。

OUT 《精霊龍、ウギン》1枚、《頂点捕食者、ガラク》1枚、《時を越えた探索》1枚、《英雄の破滅》1枚、《軽蔑的な一撃》2枚、《思考囲い》2枚、《解消》2枚。

ほとんど同意できる内容です。《思考囲い》2枚は当然として、特に《軽蔑的な一撃》2枚、《解消》2枚をデッキから外すのは正しい選択です。代わりに採用されるのが、4枚の《部族養い》と2枚の《否認》です。あとは、多くの重いカードを少しずつ減らして、スイーパーを増やしています。メインに2枚取られている《衰滅》を1枚増やしているところには同意できます。自身のレシピでは《衰滅》は3枚メイン投入しています。

異論を唱えたいのはサイドボードの《悲哀まみれ》です。このカードは赤アグロと青赤ソプター相手にサイドインするようですが、1ターン早い中途半端なスイーパーが勝率を大きく引き上げてくれるかというと、それほどではありません。そして何より、《大歓楽の幻霊》に引っかかる3マナをどう考えるか、というところ。

個人的にはより直角に刺さるカードを好みます。赤アグロ相手には《護法の宝珠》、ソプター相手には 《悪性の疫病》です。これをサーチしてくるのが個人的にメイン採用している《アンデッドの大臣、シディシ》の役割であり、このカードのおかげで獰猛が達成しやすくなり、《部族養い》の効果を大きくしています。ちなみにスゥルタイコントロールはライフ回復手段に乏しいデッキなので、《部族養い》をメインから1枚採用しているところも、個人的なレシピの工夫点です。不要ならジェイス君で捨てればよいのですから。

メインに採用されている軽量除去が《究極の価格》というのにも賛同できません。単色破壊は《スゥルタイの魔除け》だけで十分です。黒が濃くなりますが、アブザンアグロとトークン戦術に対応できる《胆汁病》にすべきです。むしろそうしないとアブザンアグロの速度に全く対応できません。当時はメタ外だったのでしょうが、コントロール使いとしては、どうしても納得いきません。

本人も「ゲーム1はまず勝てない」と語っている通り、おそらくメイン戦ではほとんど勝てないので、サイド後から頑張るというプランだは思いますが、その場合はサイド後に7割以上の勝率を出せないと試合には勝てません。それがこのサイドボードプランだと、6割ちょいに思えます。これはかなり分の悪いマッチアップです。こういう苦手なマッチアップを得意なものにすることで、精神的な負担も軽くなるものです。

なお、実際にマッチを繰り返して、赤アグロに対して引導を渡すのは、ウギンの奥義とガラクのトークンが多いことも追記しておきたいです。重くて使いづらいのは確かですが、元々決め手に欠けるデッキなので、あまりサイドアウトすべきではないカードです。


●対青赤ソプター

IN 《悲哀まみれ》2枚、《衰滅》1枚、《部族養い》2枚、《強迫》1枚、《否認》2枚。

OUT 《精霊龍、ウギン》1枚、《頂点捕食者、ガラク》1枚、《究極の価格》2枚、、《軽蔑的な一撃》2枚、《思考囲い》2枚。

青赤ソプター相手に一番刺さるカードは、個人的には《思考囲い》だと思っています。キーカードが落とされると、デッキがゴミ束になります。ここは《強迫》でも良いのですが、3枚目の《思考囲い》のほうが有用でしょう。《否認》のサイドインには賛同できますが、《悲哀まみれ》は《飛行機械技師》を流すことができず、あまり好ましくありません。《究極の価格》がメイン採用されていることにも納得がいきません。完全な無駄カードです。自身のレシピでは、対策カードとしてサイドに《自然に帰れ》、《霊気のほころび》、《悪性の疫病》の3枚を採用しています。刺さる相手が限られているのはたしかですが、《自然に帰れ》は対星座のシルバーバレットですし、《霊気のほころび》は《アーティファクトの魂込め》を使用するデッキには悪夢のようなカードです。《悪性の疫病》は飛行機械トークンを完封できます。これらをシディシでサーチしてくるのが狙いです。《部族養い》を追加で取ることには賛同できます。

おそらく構築の段階から、メイン戦およびサイド戦の勝率がかなり違うと思います。本人も「ソプターと対戦したことがなかった」と語っている通り、想定外のデッキだったのでしょう。こういうデッキ相手にどれだけ対応できるかが、腕の見せ所ではあるのですが。


●対アブザンコントロール

IN 《悪夢の織り手、アショク》3枚、《漂う死、シルムガル》1枚
OUT 《衰滅》2枚、《胆汁病》1枚、《スゥルタイの魔除け》1枚

対アブザンの勝ち筋として、スゥルタイコントロールのサイドにアショクを採用しているレシピが多くみられます。個人的にはこれにすでに懐疑的です。私は、アショクは後手ではサイドインしません。先手のときはアショクはゲームを決める力が強いですが、後手ではあまりそうとは言えないからです。
また、アブザン大変異に対する主な負け筋は、《棲み家の防御者》で《死霧の猛禽》を使いまわす動きをされることです。《衰滅》がこの動きに対応できるので、それを抜いてしまうのも違うと思っています。カウンター呪文が少ないデッキなので、こういったところを気をつけておきたいのですが。
《漂う死、シルムガル》は《太陽の勇者、エルズペス》に強く、対策しづらいカードとしては間違いないですが、1枚投入では貢献度があまり高くないのも間違いありません。むしろ、最大勢力を誇るアブザン相手にこれだけのサイドボードでどれだけ勝てるのかが、怪しいと思うのです。個人的には、《龍王シルムガル》を2枚採用しています。これは赤緑信心対策のカードなのですが、アブザン相手にも非常に効果的に働きます。手札に除去がなければ、迅速にゲームを終わらせてくれることでしょう。個人的には、追加の《思考囲い》と《否認》を取ります。前者は言うまでもなく、後者は《アブザンの魔除け》という名のアドバンテージ取りを打ち消すことができ、また《英雄の破滅》からアショクを守るカードでもあります。《太陽の勇者、エルズペス》なども同様です。

アブザンコントロールは現在のスタンダードの最大勢力。十分な対策とサイドボードカードを用意しておきたいところです。


●対赤緑信心

IN 《衰滅》1枚、《思考囲い》1枚
OUT 《時を越えた探索》1枚、《胆汁病》1枚

このサイドボードプランは、さすがに甘すぎると思います。やたら引きが強い赤緑信心と当たった経験のある方は多いかと思いますが、それが赤緑信心の真の姿。正直、それに勝てずしてコントロールなんてやってられません。自身のリストでは、《龍王シルムガル》が2枚、対策カードとして睨みをきかせています。そしてこれが最強の対アタルカ対策カードだと思っています。


●対アブザンラリー、アブザン中隊

IN 《否認》2枚、《悪夢の織り手、アショク》3枚、《思考囲い》1枚、《衰滅》1枚
OUT 《スゥルタイの魔除け》3枚、《頂点捕食者、ガラク》1枚、《時を越えた探索》2枚、
《軽蔑的な一撃》2枚

サイドボードプランとしてはだいたい同意できるのですが、一番納得がいかないのが《軽蔑的な一撃》を抜くということでしょうか。意味がわかりません。このことに関しては本人も触れていますが、その理由が「盤面に触れられないカードが多すぎる」というもので、とても納得できるものではありませんでした。キーカードである《先祖の結集》と《集合した中隊》を打ち消すことができ、更に《包囲サイ》も咎めることができるカードを抜くだけの理由にはなっていないと感じました。


●対コントロール

IN 《否認》2枚、《悪夢の織り手、アショク》3枚、《思考囲い》1枚、《強迫》1枚
OUT 《スゥルタイの魔除け》1枚、《精霊龍、ウギン》1枚、《究極の価格》2枚、
《胆汁病》1枚、《衰滅》2枚

自身のリストよりも《悪夢の織り手、アショク》と《強迫》が1枚ずつ多いぶん、対コントロールには有利なのだろうと想像できますが、コントロールのマッチアップで一番強いのは《ヴリンの神童、ジェイス》だと思います。ヴェイスの奥義によるライブラリーアウトプランで勝つのが最もわかりやすく、迅速なプランなのです。そのジェイスと、タシグルを咎めることができる《究極の価格》を抜くという行為が、果たして適切なのかどうかは、考えるべき点かと。それ以外のサイドボードプランはだいたい同意できますが、自身は《龍王シルムガル》を取り入れ、少しでも相手のアショクなどのPWに触れるカードを増やしたいです。


●対ジェスカイ

このマッチアップに関しては、触れられていません。それだけ、最近のジェスカイが新しいデッキだということでしょう。《カマキリの乗り手》を対処できる《胆汁病》はメインから多くとっておきたいですし、ライフの回復手段もサイドボードから追加したいところ。プロが使用したレシピではジェスカイ相手の勝率はあまり良さそうには思えませんでした。今後はジェスカイはTier1にあがる可能性の高いデッキだと、以前の日記でも書いています。コントロール使いのみなさんは、対策を怠らないようにしておきたいですね。


以上ですが、いかがだったでしょうか。もちろんプロプレイヤーが考えたサイドボードプランというものは、非常に参考になりますし、勉強になることが多いです。そして、そのサイドボードプランを公開するというのは、後続のプレイヤーたちにとってはこれ以上ないサービスであります。まずはこのことに敬意を払うことを、大事にしたいです。

そしてその上で、自分で考えることを止めずに、更なる工夫を重ねていくことが大事だと思います。プレイヤーそれぞれ、カードの選択や、対処の仕方などは千差万別。今回は、プロプレイヤーのサイドボードプランを見ながら、七瀬が思ったあれこれを、恐縮ながら大きな顔で語らせていただきました。これを読んで、「これは確かにね」「こういう考え方もあるよ」「こうしたほうがもっといいよ」など、ご意見、ご感想いただけると、七瀬自身の勉強になりますので、ぜひ気軽にコメントいただけると幸いです。

スゥルタイコントロールを使っているこばゆい先生も、ぜひコメントください^^

スゥルタイコントロール by 七瀬

<メインボード>
3 : 《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》
3 : 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
3 : 《棲み家の防御者/Den Protector》
2 : 《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
1 : 《アンデッドの大臣、シディシ/Sidisi, Undead Vizier》
12 creatures

2 : 《思考囲い/Thoughtseize》
3 : 《胆汁病/Bile Blight》
1 : 《部族養い/Feed the Clan》
1 : 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2 : 《解消/Dissolve》
3 : 《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
2 : 《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》
3 : 《衰滅/Languish》
4 : 《時を越えた探索/Dig Through Time》
1 : 《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》
1 : 《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
23 other spells

2 : 《島/Island》
2 : 《沼/Swamp》
4 : 《汚染された三角州/Polluted Delta》
2 : 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
2 : 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
4 : 《華やかな宮殿/Opulent Palace》
3 : 《欺瞞の神殿/Temple of Deceit》
3 : 《疾病の神殿/Temple of Malady》
2 : 《神秘の神殿/Temple of Mystery》
1 : 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
25 lands

<サイドボード>
3 : 《部族養い/Feed the Clan》
2 : 《否認/Negate》
1 : 《思考囲い/Thoughtseize》
1 : 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1 : 《護法の宝珠/Orbs of Warding》
1 : 《自然に帰れ/Back to Nature》
1 : 《霊気のほころび/Unravel the AEther》
1 : 《悪性の疫病/Virulent Plague》
2 : 《龍王シルムガル/Dragonlord Silumgar》
2 : 《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
15 sideboard cards


コメント

コバゆい
2015年8月18日21:01

ほとんど七瀬先輩に同意ですがいくつか
アブザン戦はハンドを覗いてゲームプランを作りたいので囲いはinすると思います。裏目ると勝てないゲームなので
コントロール戦もウギンはアウトしないかなと
重く不要牌感は強いですがDigから後だしでペスやオジュタイに対応できるカードだから残したいですね

七瀬
2015年8月18日22:45

コメントありがとう。書いてあるサイドプランはプロの案ですよ!
自分も囲いinは賛同で、相手が4枚使うことを考えると、本当は同数取りたいですよね。それを補うためにも、否認まで取りたい欲張りです。

ウギンは場合によりますね。ただ、コントロールマッチでは強いカードは残すべき、とは思いますので、自分も抜くことは稀かと。

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