最近のスタンダードデッキってどうなってるの?

このデッキってどういう動きするの?サイドボードってどうするの?

そんな疑問にお答えするコーナー。

本日のレシピは、「アタルカレッド」。


●大会で結果を残したらしい

先週末のSCGオープンでは、アタルカレッドが優勝を飾っています。

《MTG 海外の監視者/Oversears》
http://mtgoversears.com/post-2063/

《強大化》はもちろんのこと、《ティムールの激闘》や《タイタンの力》を採用した、かなり1点突破なデッキになっています。個人的にはあまり好みではないレシピですが、ワンチャンスで勝利できるという点で、奇襲面で優れているデッキといえるでしょう。


●デッキレシピ:アタルカレッド(七瀬式)


4 : 《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》
3 : 《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》
3 : 《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
4 : 《ケラル砦の修道院長/Abbot of Keral Keep》
3 : 《マキンディの滑り駆け/Makindi Sliderunner》
1 : 《ゴブリンの踵裂き/Goblin Heelcutter》
18 creatures

4 : 《乱撃斬/Wild Slash》
4 : 《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》
3 : 《軍族童の突発/Hordeling Outburst》
4 : 《アタルカの命令/Atarka’s Command》
4 : 《極上の炎技/Exquisite Firecraft》
3 : 《強大化/Become Immense》
22 other spells

4 : 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
4 : 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2 : 《燃えがらの林間地/Cinder Glade》
10 : 《山/Mountain》
20 lands

3 : 《引き裂く流弾/Rending Volley》
2 : 《沸き立つ大地/Boiling Earth》
2 : 《弧状の稲妻/Arc Lightning》
4 : 《焙り焼き/Roast》
2 : 《ゴブリンの踵裂き/Goblin Heelcutter》
2 : 《前哨地の包囲/Outpost Siege》
15 sidebord cards



●デッキおよび採用カード解説

「アタルカレッド」とは、赤単アグロという高速の赤い単色デッキに緑をタッチすることで、《アタルカの命令》という強力なカードを足したデッキです。このデッキの中核をなすのは、

・環境最強の1マナクリーチャー《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》

・ 最強の2マナ火力《アタルカの命令》

の2つです。

《アタルカの命令》のスペックを最大限引き出すには、クリーチャーが横に並べば良いわけですから、《僧院の速槍》との相性も考えれば《ドラゴンの餌》は非常に強力な1枚です。《軍族童の突発》はやや重く感じてしまいますが、同様の役割を果たしてくれるカードです。

1ターン目《僧院の速槍》、2ターン目《ドラゴンの餌》、3ターン目《乱撃斬》と《アタルカの命令》で、16点ものダメージを与えることができます。あとは次のターンに《極上の炎技》を本体に撃ち込めばゲームは決するでしょう。

つまりそれ以外のカードは、これらの動きに限りなく近い打点を叩き出すためのカードが採用されています。

《鐘突きのズルゴ》は伝説のクリーチャーであるため同時に展開することはできませんが、2/2というスペックの高さは《僧院の速槍》に近い強さです。先ほどと同じ動きをズルゴで代用すると、12点ものダメージを与えることができ、十分に代わりを担えています。
《稲妻の狂戦士》は通常打点で大きく劣るものの、マナを注ぎ込んだだけ打点を上げることができるというのは、相手にとっては非常に厄介な存在です。そしてこの2体はどちらも「疾駆」というキーワード能力をもっており、状況に合わせて速攻を持たせて攻撃に向かわせることもできます。

《ケラル砦の修道院長》は2マナ枠ではあるものの、3ターン目以降に展開させると強いクリーチャーです。果敢もちであることから火力やトークン生成呪文と非常に相性が良いです。《マキンディの滑り駆け》は除去の的になってしまうカードですが、フェッチランドと組み合わせることで、4/3トランプルというハイスペックなクリーチャーになります。ブロッカーを展開するデッキ相手に強く、《強大化》の良い的です。

《強大化》はゲームエンドカードです。抜けた1/1クリーチャーに使用することで6打点を稼ぐことができる非常に強力なインスタント。以前よりも緑マナを安定して用意できるようになり、また8枚ものフェッチランドを投入しているため、非常に使いやすくなりました。

もう少しマナを伸ばすことを考えれば、《ピア・ナラーとキラン・ナラー/Pia and Kiran Nalaar》といったカードも《アタルカの命令》と相性が良いカードだと思われます。

呪文の枚数は39枚。マナカーブは、

1マナ 14枚 **************
2マナ 15枚 ***************
3マナ 07枚 *******
その他 03枚 ***

と、かなり低マナ域にカードが集中していることがわかります。土地は3枚引けば十分、という構築であるため、初手に土地が4枚の場合はマリガンを考えてもよいかもしれません。


●プレイング

赤アグロ系のデッキで最も難しいのは、マリガン基準です。

初手に土地が1枚の場合、または4枚以上の場合はマリガンを考慮すべきでしょう。

土地が2~3枚であることがベストではありますが、1ターン目に何もできない場合もマリガンを考慮すべきです。

初手で動きをイメージし、なんとか流れがつくれそうならキープしますが、そうでない場合は大概はマリガンを選択します。その意味で、マリガン後の占術、というルール改訂は赤アグロ系のデッキにとっては朗報と言えます。

キープが決まったら、あとは一番効率的にダメージを与えることを意識してデッキを操るだけです。まぁそれがまた難しいのですが…。


●サイドボード

対赤アグロ系

<OUT>
3 : 《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
3 : 《マキンディの滑り駆け/Makindi Sliderunner》

<IN>
2 : 《沸き立つ大地/Boiling Earth》
2 : 《弧状の稲妻/Arc Lightning》
2 : 《前哨地の包囲/Outpost Siege》

小粒のクリーチャーが並ぶ展開では《稲妻の狂戦士》は強くありません。《マキンディの滑り駆け》も火力で対処しやすいため、数を減らしておきたいところ。ここを外して、並んだクリーチャーを一方的に一掃できる《沸き立つ大地》と《弧状の稲妻》を、また消耗戦を見据えて《前哨地の包囲/Outpost Siege》を採用しましょう。今回は諸事情により採用していませんが、《雷破の執政》あたりも対処が難しいクリーチャーですので、サイドボードにオススメです。


対アブザン系

<OUT>
4 : 《乱撃斬/Wild Slash》
3 : 《マキンディの滑り駆け/Makindi Sliderunner》
3 : 《軍族童の突発/Hordeling Outburst》

<IN>
4 : 《焙り焼き/Roast》
2 : 《弧状の稲妻/Arc Lightning》
2 : 《ゴブリンの踵裂き/Goblin Heelcutter》
2 : 《引き裂く流弾/Rending Volley》

アブザンのクリーチャーたちは非常にサイズが大きく、一度蓋をされてしまうと抜けられない可能性が高いです。よって、対処を容易にするために《焙り焼き》をフル投入します。最近流行をみせている《マラキールの解放者、ドラーナ/Drana, Liberator of Malakir》は、3点火力が取りづらくなった赤アグロにとって、対処が難しいカードです。《弧状の稲妻》ならばドラーナを焼くことができ、沸き散らかってしまった飛行機械トークンにも対応できる3点火力なので、オススメです。《ゴブリンの踵裂き》は迅速にライフを詰めに行くのに最適なクリーチャーですので、ぜひサイドインしましょう。《引き裂く流弾》はサイドインされた《アラシンの僧侶》や、相手の主力の《先頭に立つもの、アナフェンザ》を焼き払うことできる、使いどころがわりとあるカードです。《衰滅》を意識すればするほど、疾駆もちのクリーチャーたちが心強く思えるはずです。あとは、プレイングでは《アタルカの命令》の使い方を「ライフを得ることができない」モードで使うように心がけましょう。

追記:アブザンに対するサイドボードはもうちょっと考える必要がありそう。特に《乱撃斬》がなかなか抜けない気がします。

対ジェスカイ系

<OUT>
3 : 《稲妻の狂戦士/Lightning Berserker》
3 : 《軍族童の突発/Hordeling Outburst》
1 : 《ゴブリンの踵裂き/Goblin Heelcutter》

<IN>
3 : 《引き裂く流弾/Rending Volley》
2 : 《弧状の稲妻/Arc Lightning》
2 : 《前哨地の包囲/Outpost Siege》

ジェスカイは細かい火力をはじめ、《光輝の炎》をサイドインしてきます。それを見越してトークン戦術は控え目にし、ライフを得られないよう警戒しながらのバーン戦術が良いでしょう。《カマキリの乗り手》をはじめとしたクリーチャー陣にしっかりと対処するために、火力を追加します。特に《引き裂く流弾》はテンポを失うことなくほぼすべてのクリーチャーに対処できるため、3枚投入します。消耗戦になることを考え、《前哨地の包囲》も追加しておくと有効かと思われます。《強大化》はワンチャンスで一気に決着をつけることができるカードですので、残しておきます。

対エスパードラゴン

<OUT>
4 : 《乱撃斬/Wild Slash》
3 : 《マキンディの滑り駆け/Makindi Sliderunner》

<IN>
3 : 《引き裂く流弾/Rending Volley》
2 : 《ゴブリンの踵裂き/Goblin Heelcutter》
2 : 《前哨地の包囲/Outpost Siege》

サイド後にジェイスを入れてくるかは好みのため、《引き裂く流弾》を入れておけばオジュタイにも対処できるため無駄になりません。また、疾駆もちのクリーチャーは全体除去に強いため、追加しておくとよいでしょう。

この他のサイドボード候補としては、先ほどもふれた《雷破の執政》や《瘡蓋族の狂戦士》、追加の火力である《焦熱の衝動》、一部デッキに特に強い《反逆の行動》などがあげられます。また、飛行対策として《垂直落下》や、アーティファクト・エンチャント対策に《帰化》などを取ることもできます。このあたりは、実際にプレイして自分なりに調整するのをオススメします。


●おわりに

赤アグロは常に環境最速のアグロデッキの候補のひとつであり、必ず対策をとっておかなければいけないアーキタイプです。自分が使わない場合でも、どのようなデッキで、どのような点に注意しなければならないか、よく知っておく必要があると思います。

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