最近のスタンダードデッキで感じること
2015年10月8日 Magic: The Gatheringアブザンでも、ジェスカイでも、マルドゥでも、いっその事もう何でもいい。
強いクリーチャーや呪文を中心に、使いたい色をタッチしている4色デッキが流行している。ここらへんまでは七瀬でも十分に読めた。問題はここからである。
●「戦乱のゼンディカー」発売前の話
新しい多色土地「バトルランド」が発表された後、名古屋遠征中にぼんやり考えてプロキシで組んで遊んでたのは、ジェスカイとマルドゥの中間のようなデッキで、それには一応、以下のような理由があった。
・ 新環境では土地的に3色よりも4色のほうが安定すると思った
・ どのデッキでも《カマキリの乗り手》が使えるなら強いに違いない
・ どのデッキでも《はじける破滅》が使えるなら強いに違いない
・ 新しいカード、土地以外は全然使わなくても組める
最初に考えたのはこの4点。ここから構築した結果、これに《ヴリンの神童、ジェイス》や、貴重な3点除去火力かつ本体火力である《龍詞の咆哮》、アドバンテージの権化である《コラガンの命令》などをほどよく採用した、マルドゥ+ジェスカイみたいなデッキが出来上がった。
そして雑に強かったから困りものである。
このテストデッキは、名古屋におけるエスパードラゴンショックによりすっかり忘れていたのだが、ふとデッキケースから出てきて並べてみると、どうやら世間で「ジェスカイブラック」などと呼ばれているそれと同じようなものであった。
つまり、みんな考えることは同じなのである。
●基本的な考え方
自由枠:とりあえず《搭載歩行機械》
2マナ枠:青なら《ヴリンの神童、ジェイス》、緑なら《棲み家の防御者》
3マナ枠:青なら《カマキリの乗り手》、緑なら《先頭に立つ者、アナフェンザ》
4マナ枠:赤なら《雷破の執政》、緑なら《包囲サイ》
5マナ枠:青なら《龍王オジュタイ》など
左側だけ見ればなんとなくジェスカイになるし、右側だけを見ればなんとなくアブザンになるのが、一目瞭然かと思われる。七瀬はジェイスくん入れたかったから左側になっただけのことである。
しかしまぁ、強いカード詰め合わせをまとめ切れば、それは十分に強いデッキになる。
一言でいうと、「雑」である。
こんな雑な構築で、本当にいいのだろうか…?
そんな疑問を抱えつつ、七瀬は基本に立ち返ることにした。
つまりは、4色デッキを3色デッキへ戻す再構築である。
●4色デッキから3色デッキへ
3色よりも4色のほうが安定する、というのは今も感じているけれど、もちろんデメリットも強く感じる。例えば、タップイン土地が多く、1ターンほど立ち上がりが遅い。しかしこれは3色デッキでも十分に感じることだし、大差ないと言われてしまってはその通りだ。
差がつくとしたら、ダブルシンボルの扱い。
4色のほうがダブルシンボルが出しづらい、というのはこれは正しい。ドラゴンを主体とした構築をした場合に、《雷破の執政》はどうしても採用したいカードであり、これが赤のダブルシンボルを要求する。その他、強いカードで言えば、例えば《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は白のダブルシンボルを要求するし、《時を越えた探索》は青のダブルシンボルを要求する。この3種類に注目したのが、この前紹介した「ジェスカイドラゴン」というわけ。あのデッキの弱点は、呪禁に弱いこと。《はじける破滅》を入れればまるっと解決するわけだが…
組みやすくなった3色デッキ、という考え方では、友好色の組み合わせが素直。最も恩恵を受けたのはおそらく、白青黒の「エスパードラゴン」だろう。以前は青黒タッチオジュタイという歪みを残したデッキだったが、それでも相当なデッキパワーで、トーナメントシーンで輝きを見せていた。色々なカードで代用しつつ構築したのがこの前紹介したレシピであるが、SCGで3位に入賞したレシピに限りなく近かった。しょうがないからサイドボードの細かいところをちょっと真似しちゃうレベルで似ていた。
とにかく選択肢が必要なデッキは4色にすればいいし、必要なければ3色でまとめるのが良いだろうということでいいのかな。3色でまとまるカラーは強い組み合わせ。
●単色デッキから2色デッキへ
以上のアプローチの逆もまた然り。ダブルシンボル出したければ2色でいいじゃない。
単色デッキに1色タッチしたタイプのデッキは、新しい土地の恩恵がすごい。その筆頭として考えたのが「アタルカレッド」だった。《かき立てる炎》や《稲妻の一撃》といったカードを失ってややデッキパワーは落ちたものの、代わりにデッキの安定性と《強大化》という決め技を手に入れたといえる。環境初期は速いデッキが有利である、という適当な理由で最近はこのデッキを使っているが、もちろん十分に強い。そして何より、4色デッキより「デッキっぽい」気がする。
他の色も、どれも一通り強い。
白青はそもそも《龍王オジュタイ》という化け物がいるのに加えて、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》という新たな化け物がエルズペスに代わって登場。そして「覚醒」というキーワードを最も使いこなせる色であり、覚醒コントロールというアーキタイプは今後活躍が期待される。
青黒は《真珠湖の古きもの》を中核にした重めのコントロールが強い。《思考囲い》と《危険な櫃》、《悪夢の織り手、アショク》を失ったため、わざわざ青黒というカラーのデッキを選択する理由はなくなったが、《衰滅》を中核に据えて、《ヴリンの神童、ジェイス》と、新戦力である《灯の再覚醒、オブニクシリス》で十分に強いデッキが組めてしまう。そして、《荒廃した瀑布》と《荒廃した湿原》、《亡骸のぬかるみ》という土地がデッキを地味に強化している。打ち消し、除去、ドローがあれば勝てる。青黒ってそういうカラー。
黒赤は、ドラゴン系のデッキが環境終盤で活躍していたが、《嵐の息吹のドラゴン》、《思考囲い》、《ゴブリンの熟練扇動者》を失ったため、ややカードパワー不足に陥ってはいる。《搭載歩行機械》、《コラガンの命令》、《嵐の憤怒、コラガン》などがあるためまだまだ戦えるが、さすがに新戦力が少なすぎる。
緑白は大変異がまだまだ強い。個人的にこの手のデッキの構築はあまりしないので詳しくは語れないが、SCGで2位に入っているのは間違いのない強さの証明である。
●結局何が言いたかった?
タルキールのカード強すぎ。
ゼンディカー頑張れ。
ついでに言うと、《はじける破滅》に強いデッキがきっと生き残るよ!
今後のスタンダードローテーションのことを考えると、よりブロック構築に近しいデッキになるのかな、と。「戦乱のゼンディカー」で新規参入した新カードが猛威をふるうのはきっとこれから。そして、フェッチからバトルランドをもってこれるのは今だけ!
多様な構築ができる、と前向きに捉えよう。そうしよう。
…とりあえずジェイス安くならないと、みんなデッキ組みづらいんちゃう?
強いクリーチャーや呪文を中心に、使いたい色をタッチしている4色デッキが流行している。ここらへんまでは七瀬でも十分に読めた。問題はここからである。
●「戦乱のゼンディカー」発売前の話
新しい多色土地「バトルランド」が発表された後、名古屋遠征中にぼんやり考えてプロキシで組んで遊んでたのは、ジェスカイとマルドゥの中間のようなデッキで、それには一応、以下のような理由があった。
・ 新環境では土地的に3色よりも4色のほうが安定すると思った
・ どのデッキでも《カマキリの乗り手》が使えるなら強いに違いない
・ どのデッキでも《はじける破滅》が使えるなら強いに違いない
・ 新しいカード、土地以外は全然使わなくても組める
最初に考えたのはこの4点。ここから構築した結果、これに《ヴリンの神童、ジェイス》や、貴重な3点除去火力かつ本体火力である《龍詞の咆哮》、アドバンテージの権化である《コラガンの命令》などをほどよく採用した、マルドゥ+ジェスカイみたいなデッキが出来上がった。
そして雑に強かったから困りものである。
このテストデッキは、名古屋におけるエスパードラゴンショックによりすっかり忘れていたのだが、ふとデッキケースから出てきて並べてみると、どうやら世間で「ジェスカイブラック」などと呼ばれているそれと同じようなものであった。
つまり、みんな考えることは同じなのである。
●基本的な考え方
自由枠:とりあえず《搭載歩行機械》
2マナ枠:青なら《ヴリンの神童、ジェイス》、緑なら《棲み家の防御者》
3マナ枠:青なら《カマキリの乗り手》、緑なら《先頭に立つ者、アナフェンザ》
4マナ枠:赤なら《雷破の執政》、緑なら《包囲サイ》
5マナ枠:青なら《龍王オジュタイ》など
左側だけ見ればなんとなくジェスカイになるし、右側だけを見ればなんとなくアブザンになるのが、一目瞭然かと思われる。七瀬はジェイスくん入れたかったから左側になっただけのことである。
しかしまぁ、強いカード詰め合わせをまとめ切れば、それは十分に強いデッキになる。
一言でいうと、「雑」である。
こんな雑な構築で、本当にいいのだろうか…?
そんな疑問を抱えつつ、七瀬は基本に立ち返ることにした。
つまりは、4色デッキを3色デッキへ戻す再構築である。
●4色デッキから3色デッキへ
3色よりも4色のほうが安定する、というのは今も感じているけれど、もちろんデメリットも強く感じる。例えば、タップイン土地が多く、1ターンほど立ち上がりが遅い。しかしこれは3色デッキでも十分に感じることだし、大差ないと言われてしまってはその通りだ。
差がつくとしたら、ダブルシンボルの扱い。
4色のほうがダブルシンボルが出しづらい、というのはこれは正しい。ドラゴンを主体とした構築をした場合に、《雷破の執政》はどうしても採用したいカードであり、これが赤のダブルシンボルを要求する。その他、強いカードで言えば、例えば《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は白のダブルシンボルを要求するし、《時を越えた探索》は青のダブルシンボルを要求する。この3種類に注目したのが、この前紹介した「ジェスカイドラゴン」というわけ。あのデッキの弱点は、呪禁に弱いこと。《はじける破滅》を入れればまるっと解決するわけだが…
組みやすくなった3色デッキ、という考え方では、友好色の組み合わせが素直。最も恩恵を受けたのはおそらく、白青黒の「エスパードラゴン」だろう。以前は青黒タッチオジュタイという歪みを残したデッキだったが、それでも相当なデッキパワーで、トーナメントシーンで輝きを見せていた。色々なカードで代用しつつ構築したのがこの前紹介したレシピであるが、SCGで3位に入賞したレシピに限りなく近かった。しょうがないからサイドボードの細かいところをちょっと真似しちゃうレベルで似ていた。
とにかく選択肢が必要なデッキは4色にすればいいし、必要なければ3色でまとめるのが良いだろうということでいいのかな。3色でまとまるカラーは強い組み合わせ。
●単色デッキから2色デッキへ
以上のアプローチの逆もまた然り。ダブルシンボル出したければ2色でいいじゃない。
単色デッキに1色タッチしたタイプのデッキは、新しい土地の恩恵がすごい。その筆頭として考えたのが「アタルカレッド」だった。《かき立てる炎》や《稲妻の一撃》といったカードを失ってややデッキパワーは落ちたものの、代わりにデッキの安定性と《強大化》という決め技を手に入れたといえる。環境初期は速いデッキが有利である、という適当な理由で最近はこのデッキを使っているが、もちろん十分に強い。そして何より、4色デッキより「デッキっぽい」気がする。
他の色も、どれも一通り強い。
白青はそもそも《龍王オジュタイ》という化け物がいるのに加えて、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》という新たな化け物がエルズペスに代わって登場。そして「覚醒」というキーワードを最も使いこなせる色であり、覚醒コントロールというアーキタイプは今後活躍が期待される。
青黒は《真珠湖の古きもの》を中核にした重めのコントロールが強い。《思考囲い》と《危険な櫃》、《悪夢の織り手、アショク》を失ったため、わざわざ青黒というカラーのデッキを選択する理由はなくなったが、《衰滅》を中核に据えて、《ヴリンの神童、ジェイス》と、新戦力である《灯の再覚醒、オブニクシリス》で十分に強いデッキが組めてしまう。そして、《荒廃した瀑布》と《荒廃した湿原》、《亡骸のぬかるみ》という土地がデッキを地味に強化している。打ち消し、除去、ドローがあれば勝てる。青黒ってそういうカラー。
黒赤は、ドラゴン系のデッキが環境終盤で活躍していたが、《嵐の息吹のドラゴン》、《思考囲い》、《ゴブリンの熟練扇動者》を失ったため、ややカードパワー不足に陥ってはいる。《搭載歩行機械》、《コラガンの命令》、《嵐の憤怒、コラガン》などがあるためまだまだ戦えるが、さすがに新戦力が少なすぎる。
緑白は大変異がまだまだ強い。個人的にこの手のデッキの構築はあまりしないので詳しくは語れないが、SCGで2位に入っているのは間違いのない強さの証明である。
●結局何が言いたかった?
タルキールのカード強すぎ。
ゼンディカー頑張れ。
ついでに言うと、《はじける破滅》に強いデッキがきっと生き残るよ!
今後のスタンダードローテーションのことを考えると、よりブロック構築に近しいデッキになるのかな、と。「戦乱のゼンディカー」で新規参入した新カードが猛威をふるうのはきっとこれから。そして、フェッチからバトルランドをもってこれるのは今だけ!
多様な構築ができる、と前向きに捉えよう。そうしよう。
…とりあえずジェイス安くならないと、みんなデッキ組みづらいんちゃう?
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