別冊・モダン新デッキ調整録①モダンの流儀
2015年10月18日 Magic: The Gatheringこんにちは、今回は久しぶりにモダンの記事です。
普段モダンというフォーマットはそこまで馴染みはない七瀬ですが、使えるカードさえ把握できれば個人的には楽しいデッキ構築の場です。今回も楽しんでいきましょう!
●モダンというフォーマットの特徴
七瀬がモダンで遊んだときに感じたことを列挙してみる。
・ デッキの種類が多い ⇒ メタゲームがあまり有効に機能しない
・ 軽くて強い呪文が基本的に強い ⇒ 1~2マナの重要性が高い
・ プレインズウォーカーが強い ⇒ 対策カードが思った以上に少ない
・ 新しいカードや予想外のカードに弱い ⇒ 頭の中の環境が固定化されている
・ コンボデッキがある程度の地位にある ⇒ コンボを知らないと死ぬ
・ ローグデッキが雑に強い ⇒ 対策が取りづらいが、取らないと死ぬ
・ モダンならではの強いアーキタイプ⇒ 双子、親和、トロン、バーン、死せる生など
一応、ひとつずつ解説。
デッキの種類が多いというのは間違いのないことで、もちろんカードプールが広いことがその要因である。ある程度の流行というものはあるけれど、それぞれが使い込んだデッキを持ち込む傾向が強く、メタゲームを意識する必要はスタンダードのそれとはかなり違うという印象。
軽くて強い呪文が強いっていうのは、書いていてそのままだと思うのだけれど、逆に言えばそういった呪文は限られているわけで、そこにひっかからないカードは強い、ともいえる。例えば、《流刑への道》に対するプロテクション白とか、《コジレックの審問》に対する4マナ呪文とか、《稲妻》に対するタフネス4とか。もちろん軽い呪文が強ければデッキのスピードもそれなりに速いわけだから、相手のフルスロットルに対処できないデッキは生き残れないことも意味していると思う。
プレインズウォーカーが強い、というのは間違いないと思う。スタンダードであれだけ《英雄の破滅》が使われたぐらい、近年のプレインズウォーカーは破格の性能を有しており、それに対応するカードがモダンではあまり取られていないのもまた事実である。このことを考えれば、現在のスタンダードの2トップである《ヴリンの神童、ジェイス》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は活躍しやすい環境かと。
先ほどの話に引き続くようではあるが、新しいカードに弱い、というのもまた印象的。つまりは上のプレインズウォーカーは活躍するに違いないし、予想外のカード、言うなれば《神聖なる月光》のようなカードに一泡ふかされたり、いきなり出てきた《悪斬の天使》や《殴打頭蓋》などのカード1枚に敗れ去ることも多々あるだろう。
コンボデッキがある程度の地位にある、というのはモダンの一番の印象。何か2枚が揃ってしまうだけで場がメチャクチャになることは日常茶飯事であり、そうならないように常にケアしていかないといけない難しさはある。逆に言えば、慣れてしまえばどってことはなく、レガシーのそれとは比べものにならないほど楽。
ローグデッキが雑に強い、というのは最近のスタンダードでも同じようなことが言えるんだけれど、1枚1枚のカードパワーが高すぎるゆえに、それ1枚に白旗を振る状況が多く、そういったカードは大抵、あまりメジャーじゃないデッキに突っ込まれている、ということである。
モダンならではの強いアーキタイプ、ということだけれど、ここは唯一の良心。これがあるおかげで、サイドボードをある程度考えることができる。親和に対しては何をサイドインしようかな、とか。死せる生対策に墓地対策入れよう、とか。バーン対策にライフゲイン入れよう、とか。考え方を変えれば、この対策に丸々引っかかってしまうようなデッキは巻き込まれて対策されてしまうことが多いということなので、その点は注意が必要だと思う。
●以上のことを考えた上で…
モダンの大会に持っていくデッキを考える思考パターンはこんな感じ
①大好きなデッキ、使い込んだデッキをアップグレードして持っていく ⇒ 楽しい
②強いアーキタイプのデッキをこしらえて持っていく ⇒ デッキは強い、相手の対策は激しい
③まだ見ぬ未知のアーキタイプを持っていく ⇒ キチンとつくれば勝てそう
普通に楽しむだけなら、①のパターンが一番健全だと思う。「●●マスターとは俺のことだ!」というのを気軽に楽しむことができるフォーマットと考えることもできよう。
とりあえず試合で勝ちたい人は、強いアーキタイプのレシピを真似して、練習して、大会に参加しまくるのが近道ではある。いきなりモダンを始めようとすると10~30万円ぐらいの出費があるかもしれないが、元々ある程度カードをもっている人はそんなにはかからないし、そもそもお金がかからない趣味なんて、趣味とは言えないという人までいるかもしれない。しかしここまででは80点(十分合格点なんだけどね)。
本気で勝ちに行くなら、最新のデッキ(オリジナル含む)で小気味よくプレイすべき。これは七瀬の持論でしかないので、違うと思う人は適当に聞き流してもらえれば幸いなんだけど…
「構築というフォーマットの勝敗は、ほとんど構築で決まる。」
と七瀬は思っている。もちろん、そこからのプレイングやサイドボードプランなどで勝率が変わるのは当然のことなんだけれど、ある一定のレベルになると、それぐらいではあまり差が出なくなると思っている。
だから、最近七瀬が適当に参加して安定して成績が良いのは、やっぱりリミテッド。
なんというか、構築大好き人間としては、すごく悲しいんだけどね…。
過去のスタンダードの大会と、モダンの大会、よーく見比べてほしい。
スタンダードのほうは、たまーに新型デッキが猛威を振るうことがあるけれど、基本的には既存の強いデッキが勝ってる。いうなれば、アブザンだのジェスカイだの、そんな感じ。もちろんそのデッキレシピには細かい工夫があったりするんだけど、それは微々たるもの。
スタンダードは、「メタゲームを制したものが大会を制する」傾向が強い。
じゃあ、モダンのほうはというと、例えば強いアーキタイプがメタゲーム的にたまたましっくり来て勝ちましたよ!とか、そういうことが多い一方で、なんだかよくわからない軸をぶらしたようなデッキが優勝を掻っ攫って行くケースが多い。2012年のマジック・プレイヤー選手権(モダン)における、八十岡プロのデッキなんかはまさにそういったデッキのひとつかと思う。当時のモダンはZooとジャンドと青白だらけだったその中、明らかに浮いたデッキで勝ちを重ねていた。彼は最終的に、決勝でジャンドを操る渡辺プロとの日本人対決にフルセットの末に敗れてしまうものの、そのデッキ構築センス、プレイテクニックは、今回の殿堂に相応しいものだと思う。
http://coverage.mtg-jp.com/mtgpc12/# イベントカバレージ
最近の大きな大会、2015年の世界選手権では、チームが共有で持ち込んだデッキが多く、そのために「親和」「死せる生」「呪禁オーラ」の3つのデッキが目立つことになった。そんな中、自分が強いと思ったデッキを持ち込んだプレイヤーたちのデッキはそれこそ多種多様。渡辺プロの「青白コントロール」、マクラーレンの「青赤紅蓮術士」、エリックとシャンハーの「白黒トークン」、PVの「グリクシス双子」、リーシータンの「バーン」、やまけんの「タルモツイン」、ブラネルの「ジャンド」、その他にも「マーフォーク」に「アブザン」という顔ぶれである。
●今こそ…
新しいカードを積極的に採用したモダンのデッキを使いたい、と七瀬は思う。普段やってるフォーマットがスタンダードだから、そういう感覚になるのかもしれないが、基本的にスタンダードで強いカードはモダンでも強いのである。
ということで、どこまで需要があるのか知らないけど、モダンのデッキをいじりたい七瀬、次回は構築編をお届けします。(雑多に書くだけ。)
普段モダンというフォーマットはそこまで馴染みはない七瀬ですが、使えるカードさえ把握できれば個人的には楽しいデッキ構築の場です。今回も楽しんでいきましょう!
●モダンというフォーマットの特徴
七瀬がモダンで遊んだときに感じたことを列挙してみる。
・ デッキの種類が多い ⇒ メタゲームがあまり有効に機能しない
・ 軽くて強い呪文が基本的に強い ⇒ 1~2マナの重要性が高い
・ プレインズウォーカーが強い ⇒ 対策カードが思った以上に少ない
・ 新しいカードや予想外のカードに弱い ⇒ 頭の中の環境が固定化されている
・ コンボデッキがある程度の地位にある ⇒ コンボを知らないと死ぬ
・ ローグデッキが雑に強い ⇒ 対策が取りづらいが、取らないと死ぬ
・ モダンならではの強いアーキタイプ⇒ 双子、親和、トロン、バーン、死せる生など
一応、ひとつずつ解説。
デッキの種類が多いというのは間違いのないことで、もちろんカードプールが広いことがその要因である。ある程度の流行というものはあるけれど、それぞれが使い込んだデッキを持ち込む傾向が強く、メタゲームを意識する必要はスタンダードのそれとはかなり違うという印象。
軽くて強い呪文が強いっていうのは、書いていてそのままだと思うのだけれど、逆に言えばそういった呪文は限られているわけで、そこにひっかからないカードは強い、ともいえる。例えば、《流刑への道》に対するプロテクション白とか、《コジレックの審問》に対する4マナ呪文とか、《稲妻》に対するタフネス4とか。もちろん軽い呪文が強ければデッキのスピードもそれなりに速いわけだから、相手のフルスロットルに対処できないデッキは生き残れないことも意味していると思う。
プレインズウォーカーが強い、というのは間違いないと思う。スタンダードであれだけ《英雄の破滅》が使われたぐらい、近年のプレインズウォーカーは破格の性能を有しており、それに対応するカードがモダンではあまり取られていないのもまた事実である。このことを考えれば、現在のスタンダードの2トップである《ヴリンの神童、ジェイス》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は活躍しやすい環境かと。
先ほどの話に引き続くようではあるが、新しいカードに弱い、というのもまた印象的。つまりは上のプレインズウォーカーは活躍するに違いないし、予想外のカード、言うなれば《神聖なる月光》のようなカードに一泡ふかされたり、いきなり出てきた《悪斬の天使》や《殴打頭蓋》などのカード1枚に敗れ去ることも多々あるだろう。
コンボデッキがある程度の地位にある、というのはモダンの一番の印象。何か2枚が揃ってしまうだけで場がメチャクチャになることは日常茶飯事であり、そうならないように常にケアしていかないといけない難しさはある。逆に言えば、慣れてしまえばどってことはなく、レガシーのそれとは比べものにならないほど楽。
ローグデッキが雑に強い、というのは最近のスタンダードでも同じようなことが言えるんだけれど、1枚1枚のカードパワーが高すぎるゆえに、それ1枚に白旗を振る状況が多く、そういったカードは大抵、あまりメジャーじゃないデッキに突っ込まれている、ということである。
モダンならではの強いアーキタイプ、ということだけれど、ここは唯一の良心。これがあるおかげで、サイドボードをある程度考えることができる。親和に対しては何をサイドインしようかな、とか。死せる生対策に墓地対策入れよう、とか。バーン対策にライフゲイン入れよう、とか。考え方を変えれば、この対策に丸々引っかかってしまうようなデッキは巻き込まれて対策されてしまうことが多いということなので、その点は注意が必要だと思う。
●以上のことを考えた上で…
モダンの大会に持っていくデッキを考える思考パターンはこんな感じ
①大好きなデッキ、使い込んだデッキをアップグレードして持っていく ⇒ 楽しい
②強いアーキタイプのデッキをこしらえて持っていく ⇒ デッキは強い、相手の対策は激しい
③まだ見ぬ未知のアーキタイプを持っていく ⇒ キチンとつくれば勝てそう
普通に楽しむだけなら、①のパターンが一番健全だと思う。「●●マスターとは俺のことだ!」というのを気軽に楽しむことができるフォーマットと考えることもできよう。
とりあえず試合で勝ちたい人は、強いアーキタイプのレシピを真似して、練習して、大会に参加しまくるのが近道ではある。いきなりモダンを始めようとすると10~30万円ぐらいの出費があるかもしれないが、元々ある程度カードをもっている人はそんなにはかからないし、そもそもお金がかからない趣味なんて、趣味とは言えないという人までいるかもしれない。しかしここまででは80点(十分合格点なんだけどね)。
本気で勝ちに行くなら、最新のデッキ(オリジナル含む)で小気味よくプレイすべき。これは七瀬の持論でしかないので、違うと思う人は適当に聞き流してもらえれば幸いなんだけど…
「構築というフォーマットの勝敗は、ほとんど構築で決まる。」
と七瀬は思っている。もちろん、そこからのプレイングやサイドボードプランなどで勝率が変わるのは当然のことなんだけれど、ある一定のレベルになると、それぐらいではあまり差が出なくなると思っている。
だから、最近七瀬が適当に参加して安定して成績が良いのは、やっぱりリミテッド。
なんというか、構築大好き人間としては、すごく悲しいんだけどね…。
過去のスタンダードの大会と、モダンの大会、よーく見比べてほしい。
スタンダードのほうは、たまーに新型デッキが猛威を振るうことがあるけれど、基本的には既存の強いデッキが勝ってる。いうなれば、アブザンだのジェスカイだの、そんな感じ。もちろんそのデッキレシピには細かい工夫があったりするんだけど、それは微々たるもの。
スタンダードは、「メタゲームを制したものが大会を制する」傾向が強い。
じゃあ、モダンのほうはというと、例えば強いアーキタイプがメタゲーム的にたまたましっくり来て勝ちましたよ!とか、そういうことが多い一方で、なんだかよくわからない軸をぶらしたようなデッキが優勝を掻っ攫って行くケースが多い。2012年のマジック・プレイヤー選手権(モダン)における、八十岡プロのデッキなんかはまさにそういったデッキのひとつかと思う。当時のモダンはZooとジャンドと青白だらけだったその中、明らかに浮いたデッキで勝ちを重ねていた。彼は最終的に、決勝でジャンドを操る渡辺プロとの日本人対決にフルセットの末に敗れてしまうものの、そのデッキ構築センス、プレイテクニックは、今回の殿堂に相応しいものだと思う。
http://coverage.mtg-jp.com/mtgpc12/# イベントカバレージ
最近の大きな大会、2015年の世界選手権では、チームが共有で持ち込んだデッキが多く、そのために「親和」「死せる生」「呪禁オーラ」の3つのデッキが目立つことになった。そんな中、自分が強いと思ったデッキを持ち込んだプレイヤーたちのデッキはそれこそ多種多様。渡辺プロの「青白コントロール」、マクラーレンの「青赤紅蓮術士」、エリックとシャンハーの「白黒トークン」、PVの「グリクシス双子」、リーシータンの「バーン」、やまけんの「タルモツイン」、ブラネルの「ジャンド」、その他にも「マーフォーク」に「アブザン」という顔ぶれである。
●今こそ…
新しいカードを積極的に採用したモダンのデッキを使いたい、と七瀬は思う。普段やってるフォーマットがスタンダードだから、そういう感覚になるのかもしれないが、基本的にスタンダードで強いカードはモダンでも強いのである。
ということで、どこまで需要があるのか知らないけど、モダンのデッキをいじりたい七瀬、次回は構築編をお届けします。(雑多に書くだけ。)
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