1週間連続で書きます今回の企画記事は、七瀬が個人的に考えているリミテッドの基本です。「リミテッドが上手になりたい!」という声や、「プレイングが上手くなりたい!」という声をいただいたので、大したこと書けないとは思いますが、雑記程度に書かせていただきます。何かしら参考になるところがあれば幸いです。GP名古屋に向けて、頑張っていきましょう!
なお、リミテッドに対して違う考えをお持ちの方はたくさんいるかと思います。それぞれにやり方があり、それで楽しめていれば、それでいいのです。以下の内容は、あくまで七瀬個人が「こう考えてるよ」というものですので、寛大な心でよろしくお願いします。
●リミテッドについて
「ドラフト戦」というのは、開封したパックから1枚ずつ好きなカードを取り、隣の人に回すという流れを繰り返し、3パックx14枚=42枚の「あなたの選んだ」カードから、土地を含めた40枚のデッキを構築して対戦する、というものです。
「シールドデッキ戦」というのは、各自渡された6パックX14枚=84枚の「あなたに渡された」カードから、土地を含めた40枚のデッキを構築して対戦する、というものです。
「スタンダード」などといった構築戦とは別の独自の技術が必要なフォーマットであるため、ある程度自分の中でやり方を確立させないと、なかなか勝てないものです。
しかし、リミテッドにはマジックの基本がたくさん詰まっています。
リミテッドでよく考えながら遊ぶことで、マジックの基礎力がつくのです。
だからこそ、マジック初心者の方にはリミテッドで遊んでほしいのです。
プレイングなどで伸び悩んでいる中級者の方にも、強くオススメします。
ちなみに、リミテッドで遊ぶお金が厳しいというのなら、「ワンブー」などと呼ばれる「1パックドラフト」という遊びがあります。人数が厳しいというのなら、「4パックシールド」という遊びがあります。興味のある方がいましたら紹介しますので、教えてください。
さて、よく言われる基本となる構成枚数は「クリーチャー15~16枚、呪文7~8枚、土地17枚」かと思います。七瀬としても、この基本的な配分に異論はありません。昔のクリーチャーの弱さを知っている世代としては、呪文を10枚ぐらい取る感覚のほうがまだそれに近いのですが、最近のクリーチャーの強さは「異常」ですので、「迷ったらクリーチャー優先で」ということを覚えておくとよいでしょう。
ということで、今回は「クリーチャー」に焦点を当てて、七瀬のリミテッドに対する考えを紹介していこうと思います。
●クリーチャーについて
<① クリーチャーとコンバット>
七瀬は、リミテッドほどクリーチャーの戦闘が面白いフォーマットはないかと思います。構築戦で見かけるクリーチャーは、例えば今ですと《包囲サイ》など、どれも見慣れたものばかりであり、場合によってはクリーチャーを使わずに勝つデッキも多く存在します。
リミテッドでは、普段は触る機会の少ない「よくわからないクリーチャー」を使って戦うわけですから、それらの意外な強さに気づかされることも多いことでしょう。マジックのクリーチャーは非常に魅力的なものが多く、彼らのほとんど全てが輝ける場がリミテッドである、といっても過言ではありません。彼らをよく知りよく使いこなすことで、彼らはあなたに勝利を届けてくれるはずです。
1枚1枚のクリーチャーを大事にしながら上手に戦闘をこなし、相手のライフをゼロにしたほうが勝ち。これは基本的には構築戦でも変わらない、マジックの基本中の基本といえます。せっかく出したクリーチャーを、コンバットで簡単に失うわけにはいかないのです。ここがしっかりしている人は、構築のフォーマットでも十分に活躍できます。
複数体によるブロックや、呪文を上手に用いた「コンバットトリック」などのより詳細な内容は後日改めて紹介したいと思います。
まずは、クリーチャーをよく知りよく使いこなすこと。リミテッドで特に大事なことです。
<② マナレシオ>
「マナレシオ」という言葉は、Mana Ratio のことで、パワーとタフネスの平均を点数でみたマナコストで割った値です。
現代のクリーチャーは非常に強いので、2マナ以上でマナレシオが1、つまり2マナ2/2、3マナ3/3、4マナ4/4といったサイズが標準です。これに満たなくても、+αの能力をもっているものを上手に使うことで戦いを有利に進めていくことができるのです。
また基本的には、「2/3と3/2だったら2/3のほうが強い」ということを覚えておくとよいでしょう。もちろん積極的にライフを詰めにいくなら3/2のほうが強いですし、そちらを好む人も多いでしょうが、「クリーチャーはできれば死ににくいものを選ぶべき」です。タフネスが高いというのは死ににくいということであり、対処が難しいといえます。もちろん、そのセットに存在する主要な除去カードの内容によって基準は変わります。4点火力までしか存在しないのであれば、タフネス5のクリーチャーは対処が難しく、パワー3のクリーチャーが多いならばタフネス4のクリーチャーは対処が難しいです。
これもマジックの基本だと思うのですが、「対処が難しいカード」は「強い」のです。
ちなみに、もし「除去も能力も何も存在しない環境」ならば、同じマナコストという条件なら、七瀬の感覚からいうと次のように強さを比較することができます。もちろん状況にはよりますが。
1/2 < 2/1
1/3 < 3/1
1/4 < 4/1
2/3 > 3/2
2/4 > 4/2
2/5 > 5/2
3/4 ≒ 4/3
3/5 ≒ 5/3
4/5 > 5/4
これは「2マナ2/2」という、俗に「熊」と言われるクリーチャーサイズがいかに重要か、ということを顕著に表しています。同じマナコスト(ただし3マナ以上)で、同じバニラ(何も能力をもっていない)クリーチャーがいたとして、どちらをデッキに入れようか悩んだときは、基本的にはタフネス重視にすれば、間違いありません。
ここでは、クリーチャーは死ににくく対処しづらいものが重要である、と紹介しました。
<③ クリーチャーの能力>
クリーチャーは、様々な能力をもっています。代表的な例を、以下に示します。
★強力なキーワード能力 : 飛行、接死、再生、絆魂、二段攻撃
「飛行」に代表される、「威嚇」や「威迫」といった「回避能力」は、リミテッドにおいて最も基本的で強力な能力です。もしその回避能力に対応できないならば、それだけでゲームが決まってしまうことがあります。
「接死」のような「疑似除去」効果は、リミテッドで価値が高い除去に時として匹敵する非常に強力なキーワードです。1/1接死が4/4と相打ち、ということを考えれば、その強さは非常にわかりやすいものでしょう。
「再生」のような「場に残る」効果もまた、価値が高い能力です。再生のコストはかかるでしょうが、それを払えるならば、1/1再生で6/6を受け止め続けることができます。
「絆魂」は、ライフレースというものを大きく崩すことができる極めて強力な能力です。例えば2点ダメージを与えて2点回復した場合、ライフレースにおいて4点もの差になるわけですから、ライフゲインというのは、ゲームプランそのものを立て直させるほど効果があります。(※コメントで「絆魂がないよ!」と指摘がありましたので、追記しました!)
「二段攻撃」は非常に強力なキーワード能力であり、その能力をもつクリーチャーを強化することができれば、極めて迅速に相手のライフを削ることができます。回避能力と合わせ技で使いたいですね。
★便利なキーワード能力 : 先制攻撃、到達、警戒、速攻、トランプル
「先制攻撃」は戦闘上でも単純に強い能力。そのクリーチャーがタフであればあるほど、対処は困難を極めるでしょう。
「到達」は「飛行」をもつクリーチャーをブロックできる素晴らしい能力です。それだけ「飛行」という能力が、ポピュラーで強力であるのです。
「警戒」は攻撃に参加してもタップしないという、攻守に優れた能力です。大型クリーチャーがこの能力を持つことは、戦場に非常に大きな影響力をもつことを意味します。
「速攻」は召喚してすぐに攻撃などができるという、アグレッシブな能力。ライフを削る上で強いことはもちろん、相手の不意をつきやすく、意外と便利な能力です。
「トランプル」は大型のクリーチャーがもっていると強力な能力です。戦闘の基本のひとつに、大きなクリーチャーを弱いクリーチャーでブロック(チャンプブロック)して身を守る、というものがありますが、トランプルはこれを許してくれません。
★システムクリーチャー
コストを払ってタップするなどして能力を発揮するクリーチャーのことです。これはコストさえ払うことができれば、場に居続ければ何度でも使用できるので、まるで毎ターン呪文を唱えているかのよう。特にゲーム後半で、非常に強力な存在です。
★CIP能力(場に出たときに誘発する誘発型能力) ※Comes Into Playの略
「○○○○○が場に出たとき」と記載されているクリーチャーが、この能力を所持しています。この能力は、呪文つきクリーチャーというものをイメージしていただければわかりやすいかと思いますが、特にカード・アドバンテージを取りやすいものが多く、好まれやすいです。
★その他の能力
各セットには、そのセットオリジナルの能力が用意されています。これらを正しく理解し、積極的に利用することで、新しい環境のリミテッドで、それらを初めて触るであろう他のプレイヤーに一歩リードすることができる、というものです。
クリーチャーがもっている能力を十分に発揮してあげることが、リミテッドの勝利の法則であると、七瀬は考えています。
以上、マナレシオやクリーチャーの能力について説明してきましたが、ここからはより実践的な内容となります。
<④ 優先するクリーチャーとその枚数バランス>
デッキに優先して入れるべきクリーチャー、というものがあります。場に出て対処されなければゲームを決めてしまうような「ボムカード」はもちろんそれなのですが、今回の話題はそちらではなく、縁の下の力持ち的な存在。マナ域は3マナを中心とした2~4マナでマナレシオも悪くなく、かつ様々な能力をもつクリーチャーたちをバランス良く採用するのがよいでしょう。
特に大事なのは2マナ圏です。通常サイズは2/2ですが、これにおまけの能力がついているものは総じて強力です。2マナクリーチャーというのはそれだけ盤面に登場しやすく、ゲーム序盤に影響力を及ぼしやすい存在なのです。理想としては、2マナ2/2+αのクリーチャーが3~4体いると良いでしょう。特に、後半引いても利用価値の高い能力がついていれば最高です。アンコモン以上の2マナクリーチャーはそのようなものが多いので、見かけたら積極的に取りに行きたいところです。
3マナクリーチャーはゲーム序盤を支える主軸です。ここにエース級のクリーチャーが揃うデッキは非常に強力なものになるでしょう。しかし、3マナ域というのは代用がききやすいマナ域でもありますので、最低でも2/3であれば十分入れる価値があります。ここは4~5枚ほど採用できると、バランスが良いかと思います。
4マナクリーチャーは、ゲーム展開を大きく左右するような強いカードを選択したいです。ここが3/3バニラだったりすると、デッキとしてはいまひとつな印象。逆にレアカードなどで壊れた性能のクリーチャーがこのマナ域に集まりやすく、除去呪文を当てるひとつの基準になるマナ域といえます。ここは3~5枚ほど採用すると良いでしょう。
5マナ以上のクリーチャーはコモンでも強いものが多く、単純に4/5という大きなサイズのクリーチャーを入れるだけでも、盤面に与える影響力は大きいものがあります。しかし、あまりここの数を多くしてしまっても、序盤がおろそかになってしまいがちです。多くても4枚以下にとどめたいところですが、序盤にマナを伸ばせるクリーチャーなどが多く採用できていれば、このマナ域にたくさんのカードを採用することで、ビックアクションが取りやすいですね。
七瀬がバランス良く構築できたと感じるマナバランスの1例は、以下のような感じです。
<やや低速寄りミッドレンジ>
合計 16枚+呪文7枚
2マナ:3枚
3マナ:4枚
4マナ:4枚
5マナ:3枚
6マナ:2枚
<やや高速寄りミッドレンジ>
合計 16枚+呪文7枚
2マナ:4枚
3マナ:5枚
4マナ:4枚
5マナ:2枚
6マナ:1枚
2マナは特に質の高い3枚を厳選して、アグロ寄りにしたいときは4-5枚ほど。
3マナはバランスの良い、様々な能力もちの2/2~2/3クリーチャーを4-5枚ほど。
4マナはどっしり落ち着いたタフネスのを2枚+主軸2枚。
あとは5マナ以上の大きなサイズまたはボムを3-5枚入れて、合計で15-16枚ほど取るのが、七瀬の好きなバランスの構成です。
とにかくクリーチャーは質を重視しています。本来ならば呪文を10枚ほど取りたいぐらい呪文好きな七瀬なのですが、デッキにクリーチャーが少なくなってしまった時の弱さが際立ってしまうので、呪文として扱えるようなCIPもちクリーチャーは好んで採用します。また、相互関係が強いカードも好きなので、新しいキーワード能力などをもっているクリーチャーは積極的に採用する傾向があります。
ここでは、各マナ域にバランス良く質の高いクリーチャーを用意することが大事だと紹介しました。
<⑤ クリーチャーの質を重視する理由>
あなたがゲーム終盤の重要な場面で引いてきたカード、それはどのようなものだったら嬉しいでしょうか。
「2マナ2/2バニラ」、これは嬉しいとは言えません。ゲーム序盤にこそ仕事はすれど、後半に引いてしまっては弱いカードです。
「4マナ2/2で場に出たときに1ドロー」、これは及第点です。とりあえず1ドローしてくれているので、損はしていません。その引いてきたカード次第では盤面を有利にできるかもしれません。しかし、今まさにほしいカード、というわけではありませんね。
「6マナ5/5飛行」、これは嬉しいですね。ゲームの決定打といえるカードです。これが除去されなければゲームに勝つことができるでしょう。
つまりクリーチャーに限った話ですと、重くて強いカードは終盤に引いて嬉しいですが、軽くて質の低いカードは紙くずでしかありません。つまり、軽いカードこそ、後半引いても嬉しいような質の高い能力もちのカードである必要があるのです。山札にあるカードの価値は均等ですから、1マナ1/1のようなカードは、よほどの理由がない限りは、入れたくはありませんね。
たくさん軽いクリーチャーを展開して殴り切る戦術は、リミテッドとしてほとんどのケースで正解とは言えません。2/2を2体展開しても、1体の2/3相手に攻撃を躊躇してしまいます。攻撃を通すには、2/3に貴重な除去を使わなければなりません。そうこうしているうちに、より対処が困難なクリーチャーを展開されてしまっては、よほど引きが強くない限りは勝ち目はないでしょう。そして、いつも先手から攻められるわけではないのです。
※リミテッドの先攻後攻理論は、後日改めて紹介します。
3マナの確定除去は、いつ引いても有効なカードです。
4マナで2ドローできるカードは、使う余裕さえあれば、1枚アドバンテージを簡単に稼いでくれます。
5マナですべてのクリーチャーを破壊するカードは、大逆転を起こしてくれます。
いつ引いても強そうな、そういった「呪文」のほうが、本来であれば下手なクリーチャーよりは好まれるわけです。
だからこそ、軽いクリーチャーには高い質を要求しますし、そういったカードは人気が高いので、早い段階でキープするのが七瀬のやり方です。
ここでは、軽いクリーチャーこそ質の高いものを優先・厳選しよう、とオススメしました。
<まとめ>
いかがだったでしょうか。「こんな当然のことを書いても仕方がないだろ」と思った方は、きっとマジックの基本がしっかりしている方です。
七瀬は決してリミテッド巧者というわけではありませんが、これからリミテッドの腕を磨きたい人は是非参考にしていただければと思います。一緒に上達していきましょう!
コメントから、質問やご意見ご感想なども気軽にどうぞ!
なお、リミテッドに対して違う考えをお持ちの方はたくさんいるかと思います。それぞれにやり方があり、それで楽しめていれば、それでいいのです。以下の内容は、あくまで七瀬個人が「こう考えてるよ」というものですので、寛大な心でよろしくお願いします。
●リミテッドについて
「ドラフト戦」というのは、開封したパックから1枚ずつ好きなカードを取り、隣の人に回すという流れを繰り返し、3パックx14枚=42枚の「あなたの選んだ」カードから、土地を含めた40枚のデッキを構築して対戦する、というものです。
「シールドデッキ戦」というのは、各自渡された6パックX14枚=84枚の「あなたに渡された」カードから、土地を含めた40枚のデッキを構築して対戦する、というものです。
「スタンダード」などといった構築戦とは別の独自の技術が必要なフォーマットであるため、ある程度自分の中でやり方を確立させないと、なかなか勝てないものです。
しかし、リミテッドにはマジックの基本がたくさん詰まっています。
リミテッドでよく考えながら遊ぶことで、マジックの基礎力がつくのです。
だからこそ、マジック初心者の方にはリミテッドで遊んでほしいのです。
プレイングなどで伸び悩んでいる中級者の方にも、強くオススメします。
ちなみに、リミテッドで遊ぶお金が厳しいというのなら、「ワンブー」などと呼ばれる「1パックドラフト」という遊びがあります。人数が厳しいというのなら、「4パックシールド」という遊びがあります。興味のある方がいましたら紹介しますので、教えてください。
さて、よく言われる基本となる構成枚数は「クリーチャー15~16枚、呪文7~8枚、土地17枚」かと思います。七瀬としても、この基本的な配分に異論はありません。昔のクリーチャーの弱さを知っている世代としては、呪文を10枚ぐらい取る感覚のほうがまだそれに近いのですが、最近のクリーチャーの強さは「異常」ですので、「迷ったらクリーチャー優先で」ということを覚えておくとよいでしょう。
ということで、今回は「クリーチャー」に焦点を当てて、七瀬のリミテッドに対する考えを紹介していこうと思います。
●クリーチャーについて
<① クリーチャーとコンバット>
七瀬は、リミテッドほどクリーチャーの戦闘が面白いフォーマットはないかと思います。構築戦で見かけるクリーチャーは、例えば今ですと《包囲サイ》など、どれも見慣れたものばかりであり、場合によってはクリーチャーを使わずに勝つデッキも多く存在します。
リミテッドでは、普段は触る機会の少ない「よくわからないクリーチャー」を使って戦うわけですから、それらの意外な強さに気づかされることも多いことでしょう。マジックのクリーチャーは非常に魅力的なものが多く、彼らのほとんど全てが輝ける場がリミテッドである、といっても過言ではありません。彼らをよく知りよく使いこなすことで、彼らはあなたに勝利を届けてくれるはずです。
1枚1枚のクリーチャーを大事にしながら上手に戦闘をこなし、相手のライフをゼロにしたほうが勝ち。これは基本的には構築戦でも変わらない、マジックの基本中の基本といえます。せっかく出したクリーチャーを、コンバットで簡単に失うわけにはいかないのです。ここがしっかりしている人は、構築のフォーマットでも十分に活躍できます。
複数体によるブロックや、呪文を上手に用いた「コンバットトリック」などのより詳細な内容は後日改めて紹介したいと思います。
まずは、クリーチャーをよく知りよく使いこなすこと。リミテッドで特に大事なことです。
<② マナレシオ>
「マナレシオ」という言葉は、Mana Ratio のことで、パワーとタフネスの平均を点数でみたマナコストで割った値です。
現代のクリーチャーは非常に強いので、2マナ以上でマナレシオが1、つまり2マナ2/2、3マナ3/3、4マナ4/4といったサイズが標準です。これに満たなくても、+αの能力をもっているものを上手に使うことで戦いを有利に進めていくことができるのです。
また基本的には、「2/3と3/2だったら2/3のほうが強い」ということを覚えておくとよいでしょう。もちろん積極的にライフを詰めにいくなら3/2のほうが強いですし、そちらを好む人も多いでしょうが、「クリーチャーはできれば死ににくいものを選ぶべき」です。タフネスが高いというのは死ににくいということであり、対処が難しいといえます。もちろん、そのセットに存在する主要な除去カードの内容によって基準は変わります。4点火力までしか存在しないのであれば、タフネス5のクリーチャーは対処が難しく、パワー3のクリーチャーが多いならばタフネス4のクリーチャーは対処が難しいです。
これもマジックの基本だと思うのですが、「対処が難しいカード」は「強い」のです。
ちなみに、もし「除去も能力も何も存在しない環境」ならば、同じマナコストという条件なら、七瀬の感覚からいうと次のように強さを比較することができます。もちろん状況にはよりますが。
1/2 < 2/1
1/3 < 3/1
1/4 < 4/1
2/3 > 3/2
2/4 > 4/2
2/5 > 5/2
3/4 ≒ 4/3
3/5 ≒ 5/3
4/5 > 5/4
これは「2マナ2/2」という、俗に「熊」と言われるクリーチャーサイズがいかに重要か、ということを顕著に表しています。同じマナコスト(ただし3マナ以上)で、同じバニラ(何も能力をもっていない)クリーチャーがいたとして、どちらをデッキに入れようか悩んだときは、基本的にはタフネス重視にすれば、間違いありません。
ここでは、クリーチャーは死ににくく対処しづらいものが重要である、と紹介しました。
<③ クリーチャーの能力>
クリーチャーは、様々な能力をもっています。代表的な例を、以下に示します。
★強力なキーワード能力 : 飛行、接死、再生、絆魂、二段攻撃
「飛行」に代表される、「威嚇」や「威迫」といった「回避能力」は、リミテッドにおいて最も基本的で強力な能力です。もしその回避能力に対応できないならば、それだけでゲームが決まってしまうことがあります。
「接死」のような「疑似除去」効果は、リミテッドで価値が高い除去に時として匹敵する非常に強力なキーワードです。1/1接死が4/4と相打ち、ということを考えれば、その強さは非常にわかりやすいものでしょう。
「再生」のような「場に残る」効果もまた、価値が高い能力です。再生のコストはかかるでしょうが、それを払えるならば、1/1再生で6/6を受け止め続けることができます。
「絆魂」は、ライフレースというものを大きく崩すことができる極めて強力な能力です。例えば2点ダメージを与えて2点回復した場合、ライフレースにおいて4点もの差になるわけですから、ライフゲインというのは、ゲームプランそのものを立て直させるほど効果があります。(※コメントで「絆魂がないよ!」と指摘がありましたので、追記しました!)
「二段攻撃」は非常に強力なキーワード能力であり、その能力をもつクリーチャーを強化することができれば、極めて迅速に相手のライフを削ることができます。回避能力と合わせ技で使いたいですね。
★便利なキーワード能力 : 先制攻撃、到達、警戒、速攻、トランプル
「先制攻撃」は戦闘上でも単純に強い能力。そのクリーチャーがタフであればあるほど、対処は困難を極めるでしょう。
「到達」は「飛行」をもつクリーチャーをブロックできる素晴らしい能力です。それだけ「飛行」という能力が、ポピュラーで強力であるのです。
「警戒」は攻撃に参加してもタップしないという、攻守に優れた能力です。大型クリーチャーがこの能力を持つことは、戦場に非常に大きな影響力をもつことを意味します。
「速攻」は召喚してすぐに攻撃などができるという、アグレッシブな能力。ライフを削る上で強いことはもちろん、相手の不意をつきやすく、意外と便利な能力です。
「トランプル」は大型のクリーチャーがもっていると強力な能力です。戦闘の基本のひとつに、大きなクリーチャーを弱いクリーチャーでブロック(チャンプブロック)して身を守る、というものがありますが、トランプルはこれを許してくれません。
★システムクリーチャー
コストを払ってタップするなどして能力を発揮するクリーチャーのことです。これはコストさえ払うことができれば、場に居続ければ何度でも使用できるので、まるで毎ターン呪文を唱えているかのよう。特にゲーム後半で、非常に強力な存在です。
★CIP能力(場に出たときに誘発する誘発型能力) ※Comes Into Playの略
「○○○○○が場に出たとき」と記載されているクリーチャーが、この能力を所持しています。この能力は、呪文つきクリーチャーというものをイメージしていただければわかりやすいかと思いますが、特にカード・アドバンテージを取りやすいものが多く、好まれやすいです。
★その他の能力
各セットには、そのセットオリジナルの能力が用意されています。これらを正しく理解し、積極的に利用することで、新しい環境のリミテッドで、それらを初めて触るであろう他のプレイヤーに一歩リードすることができる、というものです。
クリーチャーがもっている能力を十分に発揮してあげることが、リミテッドの勝利の法則であると、七瀬は考えています。
以上、マナレシオやクリーチャーの能力について説明してきましたが、ここからはより実践的な内容となります。
<④ 優先するクリーチャーとその枚数バランス>
デッキに優先して入れるべきクリーチャー、というものがあります。場に出て対処されなければゲームを決めてしまうような「ボムカード」はもちろんそれなのですが、今回の話題はそちらではなく、縁の下の力持ち的な存在。マナ域は3マナを中心とした2~4マナでマナレシオも悪くなく、かつ様々な能力をもつクリーチャーたちをバランス良く採用するのがよいでしょう。
特に大事なのは2マナ圏です。通常サイズは2/2ですが、これにおまけの能力がついているものは総じて強力です。2マナクリーチャーというのはそれだけ盤面に登場しやすく、ゲーム序盤に影響力を及ぼしやすい存在なのです。理想としては、2マナ2/2+αのクリーチャーが3~4体いると良いでしょう。特に、後半引いても利用価値の高い能力がついていれば最高です。アンコモン以上の2マナクリーチャーはそのようなものが多いので、見かけたら積極的に取りに行きたいところです。
3マナクリーチャーはゲーム序盤を支える主軸です。ここにエース級のクリーチャーが揃うデッキは非常に強力なものになるでしょう。しかし、3マナ域というのは代用がききやすいマナ域でもありますので、最低でも2/3であれば十分入れる価値があります。ここは4~5枚ほど採用できると、バランスが良いかと思います。
4マナクリーチャーは、ゲーム展開を大きく左右するような強いカードを選択したいです。ここが3/3バニラだったりすると、デッキとしてはいまひとつな印象。逆にレアカードなどで壊れた性能のクリーチャーがこのマナ域に集まりやすく、除去呪文を当てるひとつの基準になるマナ域といえます。ここは3~5枚ほど採用すると良いでしょう。
5マナ以上のクリーチャーはコモンでも強いものが多く、単純に4/5という大きなサイズのクリーチャーを入れるだけでも、盤面に与える影響力は大きいものがあります。しかし、あまりここの数を多くしてしまっても、序盤がおろそかになってしまいがちです。多くても4枚以下にとどめたいところですが、序盤にマナを伸ばせるクリーチャーなどが多く採用できていれば、このマナ域にたくさんのカードを採用することで、ビックアクションが取りやすいですね。
七瀬がバランス良く構築できたと感じるマナバランスの1例は、以下のような感じです。
<やや低速寄りミッドレンジ>
合計 16枚+呪文7枚
2マナ:3枚
3マナ:4枚
4マナ:4枚
5マナ:3枚
6マナ:2枚
<やや高速寄りミッドレンジ>
合計 16枚+呪文7枚
2マナ:4枚
3マナ:5枚
4マナ:4枚
5マナ:2枚
6マナ:1枚
2マナは特に質の高い3枚を厳選して、アグロ寄りにしたいときは4-5枚ほど。
3マナはバランスの良い、様々な能力もちの2/2~2/3クリーチャーを4-5枚ほど。
4マナはどっしり落ち着いたタフネスのを2枚+主軸2枚。
あとは5マナ以上の大きなサイズまたはボムを3-5枚入れて、合計で15-16枚ほど取るのが、七瀬の好きなバランスの構成です。
とにかくクリーチャーは質を重視しています。本来ならば呪文を10枚ほど取りたいぐらい呪文好きな七瀬なのですが、デッキにクリーチャーが少なくなってしまった時の弱さが際立ってしまうので、呪文として扱えるようなCIPもちクリーチャーは好んで採用します。また、相互関係が強いカードも好きなので、新しいキーワード能力などをもっているクリーチャーは積極的に採用する傾向があります。
ここでは、各マナ域にバランス良く質の高いクリーチャーを用意することが大事だと紹介しました。
<⑤ クリーチャーの質を重視する理由>
あなたがゲーム終盤の重要な場面で引いてきたカード、それはどのようなものだったら嬉しいでしょうか。
「2マナ2/2バニラ」、これは嬉しいとは言えません。ゲーム序盤にこそ仕事はすれど、後半に引いてしまっては弱いカードです。
「4マナ2/2で場に出たときに1ドロー」、これは及第点です。とりあえず1ドローしてくれているので、損はしていません。その引いてきたカード次第では盤面を有利にできるかもしれません。しかし、今まさにほしいカード、というわけではありませんね。
「6マナ5/5飛行」、これは嬉しいですね。ゲームの決定打といえるカードです。これが除去されなければゲームに勝つことができるでしょう。
つまりクリーチャーに限った話ですと、重くて強いカードは終盤に引いて嬉しいですが、軽くて質の低いカードは紙くずでしかありません。つまり、軽いカードこそ、後半引いても嬉しいような質の高い能力もちのカードである必要があるのです。山札にあるカードの価値は均等ですから、1マナ1/1のようなカードは、よほどの理由がない限りは、入れたくはありませんね。
たくさん軽いクリーチャーを展開して殴り切る戦術は、リミテッドとしてほとんどのケースで正解とは言えません。2/2を2体展開しても、1体の2/3相手に攻撃を躊躇してしまいます。攻撃を通すには、2/3に貴重な除去を使わなければなりません。そうこうしているうちに、より対処が困難なクリーチャーを展開されてしまっては、よほど引きが強くない限りは勝ち目はないでしょう。そして、いつも先手から攻められるわけではないのです。
※リミテッドの先攻後攻理論は、後日改めて紹介します。
3マナの確定除去は、いつ引いても有効なカードです。
4マナで2ドローできるカードは、使う余裕さえあれば、1枚アドバンテージを簡単に稼いでくれます。
5マナですべてのクリーチャーを破壊するカードは、大逆転を起こしてくれます。
いつ引いても強そうな、そういった「呪文」のほうが、本来であれば下手なクリーチャーよりは好まれるわけです。
だからこそ、軽いクリーチャーには高い質を要求しますし、そういったカードは人気が高いので、早い段階でキープするのが七瀬のやり方です。
ここでは、軽いクリーチャーこそ質の高いものを優先・厳選しよう、とオススメしました。
<まとめ>
① クリーチャーをよく知りよく使いこなそう。
② クリーチャーは死ににくく対処しづらいものが重要である。
③ クリーチャーの能力を十分に発揮してあげることが勝利の法則。
④ 各マナ域にバランス良く質の高いクリーチャーを用意することが大事。
⑤ 軽いクリーチャーこそ質の高いものを優先・厳選しよう。
いかがだったでしょうか。「こんな当然のことを書いても仕方がないだろ」と思った方は、きっとマジックの基本がしっかりしている方です。
七瀬は決してリミテッド巧者というわけではありませんが、これからリミテッドの腕を磨きたい人は是非参考にしていただければと思います。一緒に上達していきましょう!
コメントから、質問やご意見ご感想なども気軽にどうぞ!
コメント
七瀬さんのリミテッド理論と俺の理論がおそらくちょっとずれてるので、こーゆーのは面白いです。一週間楽しみにしてます。
コメントありがとうございます。おっしゃる通り、パワータフネスの優先については環境に左右される部分がかなり大きいと思います。七瀬が伝えたかったのは、単純なバニラの殴り合いにおいて、2/2の熊に討ち取られる3/2よりも2/3のほうが、盤面で損をしにくいということです。もちろんライフを削る速度という最大の利点を犠牲にしていますので、一概に良いと言える話ではないのですが。これも環境次第ですが、先手よりも後手、アグロ寄りよりもミッドレンジ傾向を好む、七瀬の偏見が入っている感じです。七瀬がリミテッドを教えるときにはミッドレンジを基本としたところからはじめるので、その関係もありました。
絆魂など他にも色々な能力がありましたが、書いててぱっと思いついたのはあの程度でした。二段攻撃の前あたりに追記したいと思います^^ありがとうございます。よろしければ、またご覧いただいて、コメントいただけると嬉しいです!
>>ラリゴさん
他人が何を考えてリミテッドやってるか、という視点で見るのも面白いかと思います。例えば七瀬がそこそこ厳選してる2マナ枠に関しても、とりあえず2/2バニラで相討ち取れればそれでよい、という考え方もありますし。自分もコメントいただければ学ぶところも多いと思いますので、気が向いたらまたぜひコメントしてくださいb