★ 仮想敵を用意する
1、白青赤サヒーリ、白青赤コントロール
基本的なデッキ構成は同じ。《奔流の機械巨人》を頂点に、
《予期》《天才の片鱗》といった「ドロー」
《否認》《不許可》《虚空の粉砕》といった「カウンター」
《蓄霊稲妻》《鑽火の輝き》《空鯨捕りの一撃》《燻蒸》といった「除去」
で盤面をコントロールしていきます。前者はコピーキャットコンボに7~8枚枠を割いていますが、即死があるため相手も気安くタップアウトできません。メタゲームとしては「黒緑アグロ」を意識して構成されており、結果的にSCGオープンの決勝トーナメントでは上位を占めることになりました。サヒーリ自体が厄介なため、純正コントロールにも相性良く戦えたのではないかというのが個人的な感想です。
除去のほとんどをインスタントに頼っていますが、《先駆ける者、ナヒリ》《停滞の罠》《隔離の場》には注意が必要。サイドボード後はこれらの枚数が増え、《呪文捕らえ》や《払拭》《否認》などの打ち消しもサイドイン候補となってきます。
2、黒緑アグロ
《巻きつき蛇》を中心とした+1/+1カウンターのシナジーが強力なビートダウンデッキ。クリーチャーは《歩行バリスタ》《不屈の追跡者》《ピーマの改革派、リシュカー》《新緑の機械巨人》といった布陣。除去はコピーキャットを意識して、《闇の掌握》をフル投入しているリストがほとんどです。同型やコントロールの増加を意識してか、《霊気圏の収集艇》《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》といった対処されづらいカードの採用も増えています。
「昂揚型」では上記に加えて《残忍な剥ぎ取り》と《精神壊しの悪魔》、《ウルヴェンワルド横断》がとられており、サイドボード後からは《墓後家蜘蛛、イシュカナ》《害悪の機械巨人》をサーチできるような形になっています。
まずはこの2つのデッキを意識してみようと思います。
★ メタを意識したカード選択
1、対 白青赤サヒーリ
基本的に「クロックパーミッション」というアーキタイプは、線は細いですがコントロールに強いデッキです。当然ながら「白青赤サヒーリ」はお客様にしたいマッチアップになります。
先手なら《キランの真意号》を先に出してしまえばかなり有利な展開が見込まれますが、搭乗するクリーチャーを片っ端から除去されてしまうと少々厳しいかと。しかし想定される除去は《蓄霊稲妻》《鑽火の輝き》あわせて6枚程度で、ここに対処できれば有利は間違いないと思われます。後手では《キランの真意号》に《否認》を合わせられてしまうとあちらのペース。そのあとで《サヒーリ・ライ》を置かれてしまうと、タップアウトした瞬間に死ぬ可能性が高いです。
総じてゲームを左右するのは《キランの真意号》であり、置くだけで有利がつくなら4枚採用しても問題ないように思えます。場合によっては、わざと焼かれて、手札に腐りそうな2枚目をキャストするのも手です。警戒もちなので《先駆ける者、ナヒリ》で対処されづらいのも好材料。その関連で《金属の叱責》のコストにタップしてしまうと失敗する可能性があることは覚えておきたいところ。
⇒ 《キランの真意号》 4枚採用も視野。搭乗要員として《模範的な造り手》《屑鉄場のたかり屋》は隙が小さくて良いが搭乗要員が足りないと負けそう。
除去のほとんどがインスタントであることを意識すれば、《払拭》は強力な対抗手段となります。特に《天才の片鱗》へ対処できる点も良いです。ただし、コピーキャット自体には《払拭》は何も干渉できないので枚数は加減したいです。
⇒ 《払拭》メイン2枚以上の採用はアリ。サイド後は更に追加したいぐらい。
《奔流の機械巨人》で場を制圧しにくるか、それともコピーキャットで一気に逆転を狙ってくるのがあちらの基本的なプランですので、それに対して対策をとっておけると良いです。特に《奔流の機械巨人》に対して《金属の叱責》をあわせたい
⇒ 《金属の叱責》4枚採用は必須。手札に1枚は重要な場面にとっておきたい。
―――
その他3マナ以上の呪文は、ひとりQ&A方式で検討してみます
Q、《呪文捕らえ》の有効な使い方は?
A、相手の行動を阻害するのが本来の役割であるものの、相手がインスタントタイミングで動いてくるのに合わせて使ってしまっては、あまり効果がありません。相手のターンエンド時にインスタントタイミングで出てくる2点クロックとして扱い、相手のソーサリータイミングの呪文をキャッチできたらラッキー、程度に思っておくと良いかと思います。
Q、《異端聖戦士、サリア》はコピーキャット対策になるか?
A、有効でないわけではないものの、わざわざ3マナかけて出したわりには、対処されやすく「ないよりはマシ」といった印象。コピーキャット対策に見えますが、まるで信用はできません。
Q、《霊気圏の収集艇》は使える?
A、ギデオンベタ置きよりは隙が小さくて好ましいです。機体が多くなりすぎると乗り手不足になりやすいため過剰な採用は避けたいですが。《キランの真意号》を4枚採用するなら、こちらは入れて1枚かな、と思います。
Q、《停滞の罠》は何枚必要?
A、コピーキャット対策にはなりますが、そもそも3マナを構え続けるのは現実的ではありません。このマッチではデッキに2枚もあれば十分なのではないか、というのが七瀬の意見です。しかしこれ以外に対策カードが少ないので、最終的にこのカードに頼らざるをえないような気もします。
Q、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》ベタ置きのタイミングは?
A、特に先手番で、置ければ勝ちがかなり近いですが、同時に相手に勝利を許す瞬間にもなりえます。コピーキャットは6マナあれば決めることができ、そうでなくても先に《守護フェリダー》を置きながら打ち消しを構えることもあるでしょう。そういう意味で融通がきかないので、個人的には4枚も積みたくはないですね。
Q、このマッチで《大天使アヴァシン》は有効?
A、隙が少ないという点では評価できます。相手のターンエンド時に唱えるだけで、相手に2~3マナを使わせることができるでしょう。対処されなければ4点クロックです。しかし、5マナ使ってまでやることかどうか、疑問ではあります。
―――
以上のことをまとめてデッキリストにしたものが以下です。このリストを元に、実際にマッチアップを戦い、有利がつくのかどうか、きちんと検討していくのが実際になります。とりあえず今回はリストまで。
なお、対ジェスカイ戦について、コピーキャット型の場合には《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を2枚に抑えて、コントロール型ならば《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を4枚フル投入するのが良いかと思います。できる隙の大きさの違いです。
⇒ 最終的な調整として、《キランの真意号》を3枚、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を3枚にしました。
■ デッキリスト / Deck List
2、対 黒緑アグロ
ビートダウンの勢いだけ見れば間違いなく不利なマッチアップ。ここ相手に有利をつけることができるかどうかで、このデッキの価値も変わってくることでしょう。
相手のベストムーブは、2T《巻きつき蛇》⇒3T《ピーマの改革派、リシュカー》や、4T《巻きつき蛇》&《歩行バリスタ》⇒5T《新緑の機械巨人》でしょう。それだけでなく、《霊気圏の収集艇》や《最後の望み、リリアナ》といったカードも厄介ですし、《ゲトの裏切り者、カリタス》1枚で負けることすらあります。
除去は《致命的な一押し》や《闇の掌握》、サイド後も《自然のままに》などインスタントに頼り気味なので、《払拭》は常に有効ですが、ただ除去が手札に来ないままビートダウンされると、手札に《払拭》が腐って負けてしまうこともあります。
⇒ 《払拭》は採用しても2枚程度、最大で3枚。
+1/+1カウンターシナジーなので、《反射魔道士》のようなカードは劇的に刺さるわけですが、禁止カードの話をしてもしょうがないですね。ここでは《博覧会場の警備員》をオススメしたいところです。特に《歩行バリスタ》に対しては劇的に効くカードで、実質除去を撃っているようなものです。それだけでなく、カウンターの乗ったクリーチャーを対象にしていくことで、相手の勢いを殺すことができます。それと関連して、相手の除去がほとんど刺さってしまう《キランの真意号》よりも、パワー1でも搭乗可能な《霊気圏の収集艇》はライフレースにも強く、現実的です。
⇒ 《博覧会場の警備員》と《霊気圏の収集艇》は採用を検討したい
《模範的な造り手》と《屑鉄場のたかり屋》 は明らかにサイズ負けしてしまうので、このマッチアップではちょっと使いづらいクリーチャーです。《呪文捕らえ》は《歩行バリスタ》をキャッチできればそれだけで価値があります。
⇒ 《呪文捕らえ》は使いたいが、3マナ域が多すぎる
白というカラーリングを生かして《燻蒸》は採用したいところです。もちろん相手が《英雄的介入》で対応することでゲームが終わってしまうわけですが、これを《払拭》する余裕があればまだチャンスがあるでしょう。
⇒ サイドボード後の《燻蒸》は、3枚は必須か
―――
その他の呪文は、ひとりQ&A方式で検討してみます
Q、タフネス1は厳しい?
A、《歩行バリスタ》と《最後の望み、リリアナ》がいる限りは間違いなく厳しいです。《模範的な造り手》《無私の霊魂》《鎖鳴らし》が簡単に対処されてしまいます。タフネス2の《異端聖戦士、サリア》ですら厳しかったぐらいです。デッキ構築上、抜本的に考え直すべき部分かもしれません。
Q、《不屈の追跡者》対策は?
A、このクリーチャーも白青にとっては厳しい1枚です。悠々とアドバンテージを稼いでいき、《燻蒸》で盤面をリセットしてもこのアドバンテージ差があると勝負になりません。できることなら丁寧に打ち消したいので、《手酷い失敗》などの打ち消し呪文も候補になるかもしれません。
Q、《停滞の罠》は何枚必要?
A、頼りになる除去ですが、3マナ渋滞してしまうのが気になります。しかしトランプル持ちのクリーチャーや《精神壊しの悪魔》に対応できるカードが少なく、最低でも3枚、できれば4欲しいところです。継続的にアドバンテージを稼いでいく《不屈の追跡者》も速やかに処理したいクリーチャーです。悩ましいですね。
Q、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は?
A、強いカードですが、特に後手番では腐りがちです。先手番でも軽々と対処されやすく、絶対的な信頼、とはいきません。隙も大きいのが不安材料。先手番なら3枚、後手番なら2枚ぐらいが適正じゃないかな、と七瀬は判断します。
Q、このマッチで《大天使アヴァシン》は有効?
A、航空戦力は間違いなく強いですが、《闇の掌握》の餌食になりやすく、思いのほか厳しいといえます。正直なところ、あまり多くは取りたくないですね。
Q、《バラルの巧技》はどうか?
A、アクションとしては強いですが、これを撃ったからといって勝てる、ほどではありません。いったん場は落ち着きますが、あっという間に復元されることでしょう。押せ押せのときに使うと勝てそうではありますが、手札の消費も激しく、不安です。《燻蒸》との選択になるかなと思いますし、《燻蒸》のほうがハッキリしているとも思います。
Q、どうやれば勝てる?
A、クロックパーミッションという形では厳しい相手です。先手番なら形がキレイなら勝てるでしょうが、後手番では不利なことは間違いありません。よって、戦うプランを改めて考えるべきです。《燻蒸》で一度場をリセットしてから、《保護者、リンヴァーラ》のようなパワーカードを叩きつけていくのはひとつ、プランとして考えられます。その場合、単体で見るとさほどサイズは大きくないので、いかにして相手の勢いを殺ぐか、そしてそのあとの展開が重要です。
―――
ここまで考察してみると、基本の勝ち筋ではかなり厳しいことがわかります。《石の宣告》までを駆使して相手の勢いを殺いで勝つのか、それとも《燻蒸》からの後半戦で勝負するのか、悩ましいところです。
■ デッキリスト / Deck List
うーむ、イマイチ納得のいかないレシピではありますが……
もう少し考えてみます。
とりあえず、以上の考察から、段々とメインデッキの形が見えてきました。
―――
★ デッキリストを考える
まずはデッキを形にしてみましょう。以前のリストと大して変わってはいないでしょうが、カードの採用理由や、デッキの基本方針は明確になっているはずです。
■ デッキリスト / Deck List
《スレイベンの検査官》《模範的な造り手》《屑鉄場のたかり屋》《呪文捕らえ》の4種類に関しては、特にいじる必要はないように思います。デッキは基本的に先手番を意識して作られていますし、先手番で一番強いであろう流れは保つべきです。《鎖鳴らし》はクロックとして優秀なクリーチャーで、《呪文捕らえ》を守ることもできますので、こちらを優先して取りました。《博覧会場の警備員》はビートダウン対策にサイドから入れ替える形です。
《キランの真意号》はわかりやすく強いクロックですが、伝説であることを考慮にいれて3枚の採用です。《霊気圏の収集艇》はライフレースに強く、対戦相手からすると非常に除去しづらいことからメイン2枚採用。機体を増やしすぎるのも良くないので、枚数はこんなところで抑えました。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は3枚採用。理由としては《屑鉄場のたかり屋》を採用しているために若干守りづらいからです。機体およびPWの枚数についてはまだ暫定ですので、最終的に4枚に戻すかもしれませんし、2枚に絞るかもしれません。
《払拭》をメインから2枚採用。機体守れば勝ちやねん。《石の宣告》はユーティリティ除去として2枚採用で、これは緑白トークンや白黒トークンのようなデッキも若干考慮に入れています。《停滞の罠》は3枚、《金属の叱責》はしっかり4枚採用です。
《大天使アヴァシン》を採用していないので、土地は23枚に抑えました。色事故のリスクが高いので、《ウェストヴェイルの修道院》は《産業の塔》に変更しました。土地に関してはまだバランスを追求していないので、もう少し変わるかもしれません。
サイドボードは《断片化》と《神聖な協力》は個人的に必要枠なので、2枚ずつ採用。あとは前述のサイドボード後リストをなるべく組めるように選びました。ジェスカイ対策に4枚、黒緑アグロ対策に6枚です。
★ さあ、実戦調整へ
デッキリストを調整前、としているように、実際に回さずしてデッキの完成度を上げるのはなかなか難しいものです。今回の徹底検討を経て、どれだけ戦えるリストになったか、そしてどうすればより良いリストになるのか、テストしていきたいと思います。
《無私の霊魂》《異端聖戦士、サリア》《大天使アヴァシン》を採用したほうが良いのかどうか、《鎖鳴らし》《霊気圏の収集艇》《払拭》の使用感はどうなのか、はたまた、もっと別なナイスカードがあるのかどうか……実際に確かめてみないとハッキリしないことがたくさんあります。
とりあえず、明日のFNMに持ち込んでみようと思います。
★ 終わりに
七瀬のデッキ調整は、文字に起こすとだいたいこんな感じでやってます。それがゴミのようなオリジナルデッキであっても、前環境のバージョンアップデッキであっても、既に完成度の高いコピーデッキであっても、調整に関してやってることは同じです。
(他のフォーマットでも重要ではありますが)スタンダードでは、メタゲームはどうしても外せない要素であり、環境に多いであろうデッキに有利がつけばそれだけ勝てる可能性が高まるわけです。
今回焦点を当てた「白青フラッシュ」は(もはや白青機体クロパですが)元々地力の高いデッキで、前環境の愛用者も多かったことと思います。ゆえに、七瀬と同じように、なんとか戦えないかと、調整している人も多いはずです。
環境の流行を追いかけるもよし、流されずに追求するもよし、新しいものを生み出すもよし。スタンダードは常に変化し続ける面白いフォーマットだと思います。
もし良いアイデアがありましたら、教えてください!
1、白青赤サヒーリ、白青赤コントロール
基本的なデッキ構成は同じ。《奔流の機械巨人》を頂点に、
《予期》《天才の片鱗》といった「ドロー」
《否認》《不許可》《虚空の粉砕》といった「カウンター」
《蓄霊稲妻》《鑽火の輝き》《空鯨捕りの一撃》《燻蒸》といった「除去」
で盤面をコントロールしていきます。前者はコピーキャットコンボに7~8枚枠を割いていますが、即死があるため相手も気安くタップアウトできません。メタゲームとしては「黒緑アグロ」を意識して構成されており、結果的にSCGオープンの決勝トーナメントでは上位を占めることになりました。サヒーリ自体が厄介なため、純正コントロールにも相性良く戦えたのではないかというのが個人的な感想です。
除去のほとんどをインスタントに頼っていますが、《先駆ける者、ナヒリ》《停滞の罠》《隔離の場》には注意が必要。サイドボード後はこれらの枚数が増え、《呪文捕らえ》や《払拭》《否認》などの打ち消しもサイドイン候補となってきます。
2、黒緑アグロ
《巻きつき蛇》を中心とした+1/+1カウンターのシナジーが強力なビートダウンデッキ。クリーチャーは《歩行バリスタ》《不屈の追跡者》《ピーマの改革派、リシュカー》《新緑の機械巨人》といった布陣。除去はコピーキャットを意識して、《闇の掌握》をフル投入しているリストがほとんどです。同型やコントロールの増加を意識してか、《霊気圏の収集艇》《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》といった対処されづらいカードの採用も増えています。
「昂揚型」では上記に加えて《残忍な剥ぎ取り》と《精神壊しの悪魔》、《ウルヴェンワルド横断》がとられており、サイドボード後からは《墓後家蜘蛛、イシュカナ》《害悪の機械巨人》をサーチできるような形になっています。
まずはこの2つのデッキを意識してみようと思います。
★ メタを意識したカード選択
1、対 白青赤サヒーリ
基本的に「クロックパーミッション」というアーキタイプは、線は細いですがコントロールに強いデッキです。当然ながら「白青赤サヒーリ」はお客様にしたいマッチアップになります。
先手なら《キランの真意号》を先に出してしまえばかなり有利な展開が見込まれますが、搭乗するクリーチャーを片っ端から除去されてしまうと少々厳しいかと。しかし想定される除去は《蓄霊稲妻》《鑽火の輝き》あわせて6枚程度で、ここに対処できれば有利は間違いないと思われます。後手では《キランの真意号》に《否認》を合わせられてしまうとあちらのペース。そのあとで《サヒーリ・ライ》を置かれてしまうと、タップアウトした瞬間に死ぬ可能性が高いです。
総じてゲームを左右するのは《キランの真意号》であり、置くだけで有利がつくなら4枚採用しても問題ないように思えます。場合によっては、わざと焼かれて、手札に腐りそうな2枚目をキャストするのも手です。警戒もちなので《先駆ける者、ナヒリ》で対処されづらいのも好材料。その関連で《金属の叱責》のコストにタップしてしまうと失敗する可能性があることは覚えておきたいところ。
⇒ 《キランの真意号》 4枚採用も視野。搭乗要員として《模範的な造り手》《屑鉄場のたかり屋》は隙が小さくて良いが搭乗要員が足りないと負けそう。
除去のほとんどがインスタントであることを意識すれば、《払拭》は強力な対抗手段となります。特に《天才の片鱗》へ対処できる点も良いです。ただし、コピーキャット自体には《払拭》は何も干渉できないので枚数は加減したいです。
⇒ 《払拭》メイン2枚以上の採用はアリ。サイド後は更に追加したいぐらい。
《奔流の機械巨人》で場を制圧しにくるか、それともコピーキャットで一気に逆転を狙ってくるのがあちらの基本的なプランですので、それに対して対策をとっておけると良いです。特に《奔流の機械巨人》に対して《金属の叱責》をあわせたい
⇒ 《金属の叱責》4枚採用は必須。手札に1枚は重要な場面にとっておきたい。
―――
その他3マナ以上の呪文は、ひとりQ&A方式で検討してみます
Q、《呪文捕らえ》の有効な使い方は?
A、相手の行動を阻害するのが本来の役割であるものの、相手がインスタントタイミングで動いてくるのに合わせて使ってしまっては、あまり効果がありません。相手のターンエンド時にインスタントタイミングで出てくる2点クロックとして扱い、相手のソーサリータイミングの呪文をキャッチできたらラッキー、程度に思っておくと良いかと思います。
Q、《異端聖戦士、サリア》はコピーキャット対策になるか?
A、有効でないわけではないものの、わざわざ3マナかけて出したわりには、対処されやすく「ないよりはマシ」といった印象。コピーキャット対策に見えますが、まるで信用はできません。
Q、《霊気圏の収集艇》は使える?
A、ギデオンベタ置きよりは隙が小さくて好ましいです。機体が多くなりすぎると乗り手不足になりやすいため過剰な採用は避けたいですが。《キランの真意号》を4枚採用するなら、こちらは入れて1枚かな、と思います。
Q、《停滞の罠》は何枚必要?
A、コピーキャット対策にはなりますが、そもそも3マナを構え続けるのは現実的ではありません。このマッチではデッキに2枚もあれば十分なのではないか、というのが七瀬の意見です。しかしこれ以外に対策カードが少ないので、最終的にこのカードに頼らざるをえないような気もします。
Q、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》ベタ置きのタイミングは?
A、特に先手番で、置ければ勝ちがかなり近いですが、同時に相手に勝利を許す瞬間にもなりえます。コピーキャットは6マナあれば決めることができ、そうでなくても先に《守護フェリダー》を置きながら打ち消しを構えることもあるでしょう。そういう意味で融通がきかないので、個人的には4枚も積みたくはないですね。
Q、このマッチで《大天使アヴァシン》は有効?
A、隙が少ないという点では評価できます。相手のターンエンド時に唱えるだけで、相手に2~3マナを使わせることができるでしょう。対処されなければ4点クロックです。しかし、5マナ使ってまでやることかどうか、疑問ではあります。
―――
以上のことをまとめてデッキリストにしたものが以下です。このリストを元に、実際にマッチアップを戦い、有利がつくのかどうか、きちんと検討していくのが実際になります。とりあえず今回はリストまで。
なお、対ジェスカイ戦について、コピーキャット型の場合には《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を2枚に抑えて、コントロール型ならば《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を4枚フル投入するのが良いかと思います。できる隙の大きさの違いです。
⇒ 最終的な調整として、《キランの真意号》を3枚、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を3枚にしました。
■ デッキリスト / Deck List
「白青フラッシュ(タッチ黒)」(対ジェスカイサヒーリ)
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》 [SOI]
4 《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》 [KLD]
4 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》 [KLD]
2 《鎖鳴らし/Rattlechains》 [SOI]
4 《呪文捕らえ/Spell Queller》 [EMN]
―― Creatures (18)
3 《キランの真意号/Heart of Kiran》 [AER]
2 《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》 [AER]
―― Vehicles (5)
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》 [BFZ]
―― Planeswalkers (3)
4 《払拭/Dispel》 [BFZ]
2 《否認/Negate》 [OGW]/[AER]
2 《停滞の罠/Stasis Snare》 [BFZ]
4 《金属の叱責/Metallic Rebuke》 [AER]
―― Spells (12)
―― Lands (22)
2、対 黒緑アグロ
ビートダウンの勢いだけ見れば間違いなく不利なマッチアップ。ここ相手に有利をつけることができるかどうかで、このデッキの価値も変わってくることでしょう。
相手のベストムーブは、2T《巻きつき蛇》⇒3T《ピーマの改革派、リシュカー》や、4T《巻きつき蛇》&《歩行バリスタ》⇒5T《新緑の機械巨人》でしょう。それだけでなく、《霊気圏の収集艇》や《最後の望み、リリアナ》といったカードも厄介ですし、《ゲトの裏切り者、カリタス》1枚で負けることすらあります。
除去は《致命的な一押し》や《闇の掌握》、サイド後も《自然のままに》などインスタントに頼り気味なので、《払拭》は常に有効ですが、ただ除去が手札に来ないままビートダウンされると、手札に《払拭》が腐って負けてしまうこともあります。
⇒ 《払拭》は採用しても2枚程度、最大で3枚。
+1/+1カウンターシナジーなので、《反射魔道士》のようなカードは劇的に刺さるわけですが、禁止カードの話をしてもしょうがないですね。ここでは《博覧会場の警備員》をオススメしたいところです。特に《歩行バリスタ》に対しては劇的に効くカードで、実質除去を撃っているようなものです。それだけでなく、カウンターの乗ったクリーチャーを対象にしていくことで、相手の勢いを殺すことができます。それと関連して、相手の除去がほとんど刺さってしまう《キランの真意号》よりも、パワー1でも搭乗可能な《霊気圏の収集艇》はライフレースにも強く、現実的です。
⇒ 《博覧会場の警備員》と《霊気圏の収集艇》は採用を検討したい
《模範的な造り手》と《屑鉄場のたかり屋》 は明らかにサイズ負けしてしまうので、このマッチアップではちょっと使いづらいクリーチャーです。《呪文捕らえ》は《歩行バリスタ》をキャッチできればそれだけで価値があります。
⇒ 《呪文捕らえ》は使いたいが、3マナ域が多すぎる
白というカラーリングを生かして《燻蒸》は採用したいところです。もちろん相手が《英雄的介入》で対応することでゲームが終わってしまうわけですが、これを《払拭》する余裕があればまだチャンスがあるでしょう。
⇒ サイドボード後の《燻蒸》は、3枚は必須か
―――
その他の呪文は、ひとりQ&A方式で検討してみます
Q、タフネス1は厳しい?
A、《歩行バリスタ》と《最後の望み、リリアナ》がいる限りは間違いなく厳しいです。《模範的な造り手》《無私の霊魂》《鎖鳴らし》が簡単に対処されてしまいます。タフネス2の《異端聖戦士、サリア》ですら厳しかったぐらいです。デッキ構築上、抜本的に考え直すべき部分かもしれません。
Q、《不屈の追跡者》対策は?
A、このクリーチャーも白青にとっては厳しい1枚です。悠々とアドバンテージを稼いでいき、《燻蒸》で盤面をリセットしてもこのアドバンテージ差があると勝負になりません。できることなら丁寧に打ち消したいので、《手酷い失敗》などの打ち消し呪文も候補になるかもしれません。
Q、《停滞の罠》は何枚必要?
A、頼りになる除去ですが、3マナ渋滞してしまうのが気になります。しかしトランプル持ちのクリーチャーや《精神壊しの悪魔》に対応できるカードが少なく、最低でも3枚、できれば4欲しいところです。継続的にアドバンテージを稼いでいく《不屈の追跡者》も速やかに処理したいクリーチャーです。悩ましいですね。
Q、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は?
A、強いカードですが、特に後手番では腐りがちです。先手番でも軽々と対処されやすく、絶対的な信頼、とはいきません。隙も大きいのが不安材料。先手番なら3枚、後手番なら2枚ぐらいが適正じゃないかな、と七瀬は判断します。
Q、このマッチで《大天使アヴァシン》は有効?
A、航空戦力は間違いなく強いですが、《闇の掌握》の餌食になりやすく、思いのほか厳しいといえます。正直なところ、あまり多くは取りたくないですね。
Q、《バラルの巧技》はどうか?
A、アクションとしては強いですが、これを撃ったからといって勝てる、ほどではありません。いったん場は落ち着きますが、あっという間に復元されることでしょう。押せ押せのときに使うと勝てそうではありますが、手札の消費も激しく、不安です。《燻蒸》との選択になるかなと思いますし、《燻蒸》のほうがハッキリしているとも思います。
Q、どうやれば勝てる?
A、クロックパーミッションという形では厳しい相手です。先手番なら形がキレイなら勝てるでしょうが、後手番では不利なことは間違いありません。よって、戦うプランを改めて考えるべきです。《燻蒸》で一度場をリセットしてから、《保護者、リンヴァーラ》のようなパワーカードを叩きつけていくのはひとつ、プランとして考えられます。その場合、単体で見るとさほどサイズは大きくないので、いかにして相手の勢いを殺ぐか、そしてそのあとの展開が重要です。
―――
ここまで考察してみると、基本の勝ち筋ではかなり厳しいことがわかります。《石の宣告》までを駆使して相手の勢いを殺いで勝つのか、それとも《燻蒸》からの後半戦で勝負するのか、悩ましいところです。
■ デッキリスト / Deck List
「白青フラッシュ(タッチ黒)」(対黒緑アグロ)
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》 [SOI]
3 《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》 [KLD]
3 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》 [KLD]
2 《博覧会場の警備員/Fairgrounds Warden》 [KLD]
3 《呪文捕らえ/Spell Queller》 [EMN]
―― Creatures (15)
3 《キランの真意号/Heart of Kiran》 [AER]
2 《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》 [AER]
―― Vehicles (5)
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》 [BFZ]
―― Planeswalkers (2)
2 《払拭/Dispel》 [BFZ]
2 《手酷い失敗/Horribly Awry》[BFZ]
2 《石の宣告/Declaration in Stone》 [SOI]
3 《停滞の罠/Stasis Snare》 [BFZ]
4 《金属の叱責/Metallic Rebuke》 [AER]
2 《燻蒸/Fumigate》 [KLD]
―― Spells (15)
―― Lands (23)
うーむ、イマイチ納得のいかないレシピではありますが……
もう少し考えてみます。
とりあえず、以上の考察から、段々とメインデッキの形が見えてきました。
―――
★ デッキリストを考える
まずはデッキを形にしてみましょう。以前のリストと大して変わってはいないでしょうが、カードの採用理由や、デッキの基本方針は明確になっているはずです。
■ デッキリスト / Deck List
「白青フラッシュ(タッチ黒)」(調整前)
4 《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》 [SOI]
4 《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》 [KLD]
4 《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》 [KLD]
2 《鎖鳴らし/Rattlechains》 [SOI]
4 《呪文捕らえ/Spell Queller》 [EMN]
―― Creatures (18)
3 《キランの真意号/Heart of Kiran》 [AER]
2 《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》 [AER]
―― Vehicles (5)
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》 [BFZ]
―― Planeswalkers (3)
2 《払拭/Dispel》 [BFZ]
2 《石の宣告/Declaration in Stone》 [SOI]
3 《停滞の罠/Stasis Snare》 [BFZ]
4 《金属の叱責/Metallic Rebuke》 [AER]
―― Spells (11)
6 《平地/Plains》
6 《島/Island》
4 《秘密の中庭/Concealed Courtyard》 [KLD]
4 《港町/Port Town》 [SOI]
2 《大草原の川/Prairie Stream》 [BFZ]
1 《産業の塔/Spire of Industry》 [AER]
―― Lands (23)
2 《断片化/Fragmentize》 [KLD] ⇒ 機体対策
2 《払拭/Dispel》 [BFZ] ⇒ コントロール対策
2 《否認/Negate》 [OGW] ⇒ コントロール対策
2 《手酷い失敗/Horribly Awry》 [BFZ] ⇒ 黒緑対策
2 《神聖な協力/Blessed Alliance》 [EMN] ⇒ 赤緑対策
2 《博覧会場の警備員/Fairgrounds Warden》 [KLD] ⇒ 黒緑対策
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》 [BFZ]
2 《燻蒸/Fumigate》 [KLD] ⇒ 黒緑対策
―― Sideboard (15)
《スレイベンの検査官》《模範的な造り手》《屑鉄場のたかり屋》《呪文捕らえ》の4種類に関しては、特にいじる必要はないように思います。デッキは基本的に先手番を意識して作られていますし、先手番で一番強いであろう流れは保つべきです。《鎖鳴らし》はクロックとして優秀なクリーチャーで、《呪文捕らえ》を守ることもできますので、こちらを優先して取りました。《博覧会場の警備員》はビートダウン対策にサイドから入れ替える形です。
《キランの真意号》はわかりやすく強いクロックですが、伝説であることを考慮にいれて3枚の採用です。《霊気圏の収集艇》はライフレースに強く、対戦相手からすると非常に除去しづらいことからメイン2枚採用。機体を増やしすぎるのも良くないので、枚数はこんなところで抑えました。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は3枚採用。理由としては《屑鉄場のたかり屋》を採用しているために若干守りづらいからです。機体およびPWの枚数についてはまだ暫定ですので、最終的に4枚に戻すかもしれませんし、2枚に絞るかもしれません。
《払拭》をメインから2枚採用。機体守れば勝ちやねん。《石の宣告》はユーティリティ除去として2枚採用で、これは緑白トークンや白黒トークンのようなデッキも若干考慮に入れています。《停滞の罠》は3枚、《金属の叱責》はしっかり4枚採用です。
《大天使アヴァシン》を採用していないので、土地は23枚に抑えました。色事故のリスクが高いので、《ウェストヴェイルの修道院》は《産業の塔》に変更しました。土地に関してはまだバランスを追求していないので、もう少し変わるかもしれません。
サイドボードは《断片化》と《神聖な協力》は個人的に必要枠なので、2枚ずつ採用。あとは前述のサイドボード後リストをなるべく組めるように選びました。ジェスカイ対策に4枚、黒緑アグロ対策に6枚です。
★ さあ、実戦調整へ
デッキリストを調整前、としているように、実際に回さずしてデッキの完成度を上げるのはなかなか難しいものです。今回の徹底検討を経て、どれだけ戦えるリストになったか、そしてどうすればより良いリストになるのか、テストしていきたいと思います。
《無私の霊魂》《異端聖戦士、サリア》《大天使アヴァシン》を採用したほうが良いのかどうか、《鎖鳴らし》《霊気圏の収集艇》《払拭》の使用感はどうなのか、はたまた、もっと別なナイスカードがあるのかどうか……実際に確かめてみないとハッキリしないことがたくさんあります。
とりあえず、明日のFNMに持ち込んでみようと思います。
★ 終わりに
七瀬のデッキ調整は、文字に起こすとだいたいこんな感じでやってます。それが
(他のフォーマットでも重要ではありますが)スタンダードでは、メタゲームはどうしても外せない要素であり、環境に多いであろうデッキに有利がつけばそれだけ勝てる可能性が高まるわけです。
今回焦点を当てた「白青フラッシュ」は(もはや白青機体クロパですが)元々地力の高いデッキで、前環境の愛用者も多かったことと思います。ゆえに、七瀬と同じように、なんとか戦えないかと、調整している人も多いはずです。
環境の流行を追いかけるもよし、流されずに追求するもよし、新しいものを生み出すもよし。スタンダードは常に変化し続ける面白いフォーマットだと思います。
もし良いアイデアがありましたら、教えてください!
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